１４３：夏休み５ 〜S〜 ページ18
部屋からバスタオル姿のAが見えて、俺も急いで服を脱ぐ。
俺は別に恥ずかしくないから全裸で湯船に飛び込んだ。
「もぉ！翔くん！お湯かかった〜。」
「あはは。ごめんごめん。」
頭から顔までびしょ濡れなA。
「ね？こっちおいでよ。」
丸い湯船の端にいるAの腰に手を回して引き寄せ、膝の間に収めるとギュッと抱きしめて。
「翔くん？」
「ん〜？」
「恥ずかしいよ…。」
羞恥の所為なのか、風呂の所為なのかAの顔は真っ赤で。
「…かわい。」
もう何回も身体を重ねているのに、こんな事でも恥じらって赤面するAがすっげぇ可愛い。
「もう！からかって！」
「からかってないよ？本心。Aは可愛い。」
耳まで赤い…。
もう、たまんなくなって後ろからその耳にキスを落とす。
ビクッと震えるAの身体。
「もぉ〜…。」
「ふふ。」
思わず軽い笑いがこぼれる。
「あっ！そろそろじゃない？」
「だな。」
ゆっくりと水平線に沈むオレンジ色の夕日を見つめる。
「綺麗…。」
ポツリとAが呟く。
Aの顔を覗き込むと、夕日が反射して目がキラキラしてる。
顔もほんのりオレンジ色…。
『Aの方が綺麗だよ。』
なぁんて、そんなキザなセリフ思っても言えない。
「翔くん？」
「ん？」
「ちょっと熱い。のぼせそう。」
「そっか。じゃぁね。」
Aを抱いたまま立ち上がり、湯船の淵に座る。
「これならいい？」
「うん。」
返事をしながらもAの視線は、真っ正面の夕日で。
太陽が海をオレンジ色に染めながら、段々と水平線に沈む光景を、お互い話しもせずにジッと見つめる。
すっかり太陽が沈む頃には、Aの背中は冷たくなっていて。
「A？もう一回あったまろ？」
「うん。」
抱っこのままに湯船に沈む。
「翔くん？」
「ん？」
「連れて来てくれてありがとう。すっごい綺麗で感動した。」
「そっか。よかった。喜んでもらえて。」
俺がそう言うと、クルッと振り返って俺の頬にキスをしてふんわり笑う。
「んとに…可愛い。大好き。離さない。」
ギュッと抱きしめる。
「私も翔くん大好きよ？」
今度は顔を埋めてる首に唇の感覚。
「ね？俺って誘われてる？」
「い〜え。全然。」
「おっかしいなぁ？俺にはそう感じるんだけど？」
「そ？きっと勘違いだよ。」
「Aの唇に聞いてみてもいい？」
「ダ〜メ。」
『ふふ』って笑うAの唇を有無を言わさず塞いだ。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年6月21日 14時
