１４２：夏休み４ ページ17
「ねぇ？せっかくだしちょっとお散歩行こうよ？」
ベッド上で寝転び私を抱きしめる翔くんに言う。
「ん〜…。」
あ、寝ちゃった…。
ずっと運転してたし疲れちゃったかな？
まだ夕暮れまで時間あるし寝かせといてあげよ。
暫く、翔くんの胸の音と規則正しい寝息を聞いていると、案の定腕が離れて解放される。
翔くんの隣をそっと抜け出して、露天風呂にある椅子に座って海を眺める。
「いい眺め…。」
夏の太陽の光が反射して海がキラキラして、潮の香りが鼻腔を擽る。
夏の温い風を感じながら目を瞑ると波の音。
それがすごく心地よくて…。
・・・「A？起きて？」
身体を揺すられて、夢の世界から引き戻される。
「ん〜…？」
「起きよ？そろそろ陽が沈むよ？」
「ん…しょ…くん？」
「うん？」
「ちゅぅ。」
「はいはい。眠り姫。」
王子様にチュッとキスをされて目を開ける。
「はは。ちゃんと起きた。」
「起きるよ。王子様からのキスだもん。」
「かわい。」
優しく微笑んだ翔くんが頬にもキスをくれる。
「んでも、欲を言うなら俺の腕の中で寝てて欲しかったけど。」
「無理でしょ？翔くん寝相悪いし。」
「はいはい。そうですね。」
そっぽ向いて、私が座る椅子の隣に胡座をかいて座り込む。
あ、いじけた。
「いじけないの。」
私の隣に座る翔くんの頭を撫でる。
「翔くん？いじけてるとお風呂入らないよ？」
そう言うとパッと私の顔を見上げる。
「それはイヤ。」
『イヤ』って言いつつも、まだ口は尖ってる。
「でしょ？じゃぁこのお口直して。」
チュッとキスを落とす。
「直った？」
「…ん。」
「じゃぁね？翔くんはちょっと出てて？」
「え？！何で？俺が脱がしてあげるよ。」
「そ、それは無理//」
「いいから…。」
そう言って、私の上着に手をかけ、その手を上から押さえる。
「翔くん//！」
「ダメ？」
顔を覗き込んで、上目遣いで聞いてくる。
ズルいなぁ…
私の弱い所ついてくる。
でも…。
「ダメです！」
「チェッ。」
またいじけた翔くんが渋々お風呂があるテラスから出て行く。
部屋からもこのテラスが見えるので、死角になりそうな場所で服を脱ぎバスタオルを巻く。
髪を上に纏めて、湯船に向かう。
「あぁ〜気持ちいぃ…。」
「んじゃぁ、俺も。」
いつの間にか背後にいた翔くんが、ザブンと音を立てて勢いよく湯船に飛び込んだ。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年6月21日 14時
