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小綺麗な和風の佇まいのお店。
高そうだなぁってビクビクしながら直己さんの後ろをついていく。
はじめから個室になっていて余計に緊張するよ。
居酒屋とかBALとか、ガヤガヤしたところしか行ったことないもん。
『ここはね、おまかせだからね』
『あ…はい』
直己さんはお酒も頼まず、出されたおしぼりで丁寧に手を拭いていた。
『宇宙がどうとか言ったんだって?
臣が困ってたよ』
『あ…ほんとに宇宙の端っこが気になってたわけじゃなくて、世の中分からないことばかりだなぁって…』
『うん。そうだね。世の中そんなもんじゃない?
でも、分からないことだらけだなぁって思うことがあったんでしょ?
今日は1日ため息ついてたもんね』
『………………………』
直己さんはそれ以上何も言わず
私が話し出せるように待ってくれているみたいだった。
『私、彼氏いたんです』
『うん。喧嘩しちゃったのかな?』
私が首を横に振ると、直己さんは困ったように笑ったけど
それでもやっぱり無理やり聞き出そうとはしなくて…
その穏やかな雰囲気が、話を聞いて欲しいと思わせる。
『高校1年の時に2つ上の先輩と付き合って
もう10年になります』
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メープル(プロフ) - 更新待ってます! (2020年2月27日 10時) (レス) id: 3d617b9b13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にこすまいる | 作成日時:2019年8月14日 0時