検索窓
今日:7 hit、昨日:3 hit、合計:7,375 hit

ページ8

·







「トランペットもピアノも、一応先生は居るんやな?」

「はい。ピアノは近所のピアノ教室の先生なんですけど、
トランペットは笹山先生に見てもらっていて、」

「笹山先生ってあのフリーランスのプロ奏者の?」

「はい。そうです」

「すごいな、どういう繋がり?」

「父がたまたま小中一緒の同級生やったみたいで。
トランペット始めたって話したら一回聞きたいって、」

「そこで見初められたってことか」

「そう、なんですかね。
でもまあ、気に入ってもらえたみたいで。
中学校に上がってからはずっと面倒見てくれてるんです」

「すごいな。レッスン、普段どのくらいやってるん?」

「トランペットは週に一回で、
ピアノは私の行ける曜日と先生の都合が合わなくて、
高校に入ってからは二週間に一回しか見てもらえてないんです。
個人練習は、どちらも毎日必ずしてます」

「そっかそっか」

「あの、先生、」

「何?」

真ん丸で、綺麗な瞳。




「もし良かったら、受験対策だけやなくて、
個人練習も付き合ってくれませんか?」

「え?」

「レッスン、して欲しいんです」






後から思えば、自分でも、
何で突然こんな打診をしたのか分からない。


でもとにかく、この人の音楽に触れてみたかった。

この人と、音楽をしてみたかったんだ。



本能が、そう言っていたんだ。





「わかった、付き合うよ」

「え、いいんですか?」

「ははっ、自分で言ったんやろ?」






こうして、私たち二人の日々は、
何の前触れもなく、突然始まったんだ。










·

calando→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
76人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みなみ | 作成日時:2019年5月3日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。