はつ恋は実らない。

＊ ページ6

．



さっきまで笑っていた康二くんが急に真面目な顔になるから、どうかしたの？って聞こうと口を開こうとした時。

すっと指が目元に伸びてきた。


「Aちゃん…泣いてたん…？目うるうるしてる。」



なんで、わかっちゃうかなあ。



『泣いてないよ。…泣きそうになっただけ。』

「それは…ここに目黒がおらんことと…関係、あるやんな…？」


コクと頷けば、悲しそうな顔をする康二くん。


康二くんにだけは全部話してるから。
今まで一度も誰にも話したことなかったのに、康二くんには何故か話せてしまった。
というか、半分は気づかれてしまったんだけど。



「よし、今から俺んちいこ。俺が元気にしたる！」

『え、ちょ、康二くん？！』


腕をひかれて、駅へと道を走った。


それを遠くから目黒に見られてるなんて、前しか見てない私と康二くんは知るはずもなかった。



．

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す