儚くて、淡くて、愛しくて (ページ19)

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松本さん本当に忙しかったみたいで

その忙しさは私の想像を軽く超えてた。

今日1日だけで嫌なほど分かった。

松本さんは凄い人。
相手の気遣いも忘れず商品のアプローチも忘れない。きっと並大抵の努力じゃ出来ないと思う。

始まる前はどうなるかと思ったけど

“あの、私何したら”

“あー、今日はどういう事やってるか見て体験してもらえばいいと思ってたから。そんな重く考えんな”

フォローはするし、って言ってくれた。

合間を縫って分からない事教えてくれて、後輩への気遣いまで出来ちゃう。

潤｢はい、お疲れー。もう帰っていいから｣

｢え、まだ17時ちょっと前ですが…｣

潤｢新入社員は絶対定時には帰らなきゃいけない決まりなの。課長には俺から伝えとくから。お疲れ｣

｢お疲れ様でした！｣

ヒラヒラと手を上げてタクシーに乗ってった松本さん……

惚れそう！惚れる要素しかない！

あ、怖いのはやっぱり変わらないけど…

帰ろうとしたちょうどのタイミングで携帯が震えて。

｢もしもし？｣

和『あーもしもしA？首飛んだ？慰めてやろーか？それとも送別会？』

｢クビになったていで話すのやめてよ笑｣

んで、なに？って聞くと｢なんだ、ぜーんぜん平気そうじゃん｣って言う。

これでも心配してくれてんだな

和『経営企画部の同期何人かで飲むかって話してるんだけどAも来る？』

｢行く！どこ行けばいい？｣

二宮くんが教えてくれた場所までここから2駅。

櫻井くんの知り合いの店とかで｢貸し切った！｣って楽しそうな声が電話越しに聞こえた。