恋愛ドラマティック２

58.コースター ページ9

和「どうしろっつーんだよ、今さら…」









セミの声が響く

数学準備室





もう夏も終わりだぞ

いい加減諦めろや




そう、

鬱陶しい声の方に

目を向けると

ララと海に行った日のことを

思い出す

















ﾘｵ「カズ……」


和「…リオ……」


ﾘｵ「やっと…逢えた…っ…」










突然

俺の元をリオが去って

もう何年経ったんだろうか





追いかけることも

探すこともしなかった



いや、

出来なかった




あんなに大切だったリオに

はっきりと

終わりを告げられるのが

怖かった




弱い自分を

認めるのが

怖かったんだ
























和「…久しぶり。」


ﾘｵ「ホント、久しぶり…
ララちゃん、だよね？
すっかり大人っぽくなって…」


南「……どうも。」


ﾘｵ「相変わらず、嫌われちゃってるなぁ…笑」


和「じゃあ。」


ﾘｵ「待って…！
ずっと…逢いたかったの。
逢いたくて……ここに来たら、逢えるかなって…」


南「今さら何の用ですか!?
自分勝手にかずくんのこと捨てた過去を、忘れたとでも言うんですか!?」


和「ララ。」


南「だって！」


和「昔のことだよ。」


ﾘｵ「カズ…！」


和「もう、終わったんだよ。」


ﾘｵ「そんな…っ」


和「じゃーな。ララ行くぞ。」


ﾘｵ「これ！あたしの連絡先…
好きにしていいから。
捨てるなり、破くなり、好きにして…いいから…！」


和「…っ…」


ﾘｵ「お願い、受け取って？」


和「……」


ﾘｵ「ありが…とぉ…」















昔からそうだった



この時代に

メールが嫌いだと

手紙を書く、ヤツだった



綺麗とは言えないけど

愛情のこもった

温かい字を

書くヤツだった













リオに手渡された

コースター




その裏側に書かれた

懐かしい字









和「どうしろっつーんだよ、今さら…」









11桁の数字が

俺を、

試してる。

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