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『圭人……俺、このまま死ぬんだよね』
『っ…そんなこと、…』
『いいんだ。どうせもう……何もない』
その頃の山ちゃんは自棄になってベッドに潜り、顔すら見せてくれない状態で。
“もしかしたらもう長くは持たない”と家族に宣告されていたんだ。
そんなとき………一人の男の子と出会った。
誰かのお見舞いに来ているみたいで、見かける度にこにこしていたその子に、山ちゃんは最初こそ目を背けたけれど、次第に……
“今日は来るかな？”
“明日は来るかな？”
と探すようになって。
………ある日。
その男の子は枯れかけた花を抱えて、そこのベンチに座っていた。
いつものにこにこした顔ではなく、悲しげな表情で。
『………どう、したんですか…？』
普段なら絶対そんなことしないのに、気がついたら話しかけていた。
『…え、？…あの……友達のお見舞いで…』
『それは…？』
『………その友達が……リハビリが上手くいってないみたいで………綺麗なお花が気に障っちゃったのかな……』
人の笑顔なんか疎ましく思っていたという山ちゃん。
それが初めて“笑顔でいてほしい”、“自分がこの人を笑顔にしたい”と思った瞬間だった。
『同じだよ……花も人間も。どちらも命があって、生きようとする分だけ綺麗に咲いてる。
……それは自分だけの力じゃなくて、回りの手を借りるってこともおんなじ。
諦めたらそのまま枯れてしまう………ね？』
『……』
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「っ先輩……それ、」
……全部、全部、甦ってくるあの日のこと。
あの木の下、ベンチに座る僕の目線。
隣に座って、励ましてくれた貴方の声。
何気ない日常の一コマになっていた僕の記憶の中に………彼はいた。
「山ちゃんも同じだった。一度は全てを諦めて………
もしも知念くんと出会っていなかったら、山ちゃんの今はなかったかもしれない」
「………そんなに前から……」
「名前も年齢も分からない。
だから、高校の入学式で知念くんを見かけたとき、すぐに報告してくれたよ。
“あの子がいた”って。」
山田くんのことは噂でしかなかった。
遠くから見えるのはいつも背中で。
正面から見た貴方は、想像よりずっと脆くて、特別なことなんか何一つ無くて。
みんなと同じだったんだ。
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めい - めちゃくちゃ面白くて一気に読んでしまいました！他の作品も全て読ませて頂きました。更新楽しみにしてます…！ (2023年2月18日 7時) (
レス) id: ddf213f93e (このIDを非表示/違反報告)
Rio(プロフ) - 主様のお話大好きです…！！続き楽しみにしてます！ (2023年2月5日 18時) (レス) @page37 id: 9d6c92ab72 (このIDを非表示/違反報告)
suger(プロフ) - こんなに切なくて甘くて面白いお話読んだことないです！！続き、読みたいです…！！ (2021年5月15日 17時) (レス) id: 50dbc87e12 (このIDを非表示/違反報告)
綾李里(プロフ) - ゆめる。さん» ありがとうございます…！大好きのお言葉嬉しいです(^^)頑張ります…！ (2020年5月8日 17時) (レス) id: 7762ef5dd7 (このIDを非表示/違反報告)
綾李里(プロフ) - saarymcnさん» 更新遅くてすみません。涙なんて…勿体ないお言葉…！ (2020年5月8日 17時) (レス) id: 7762ef5dd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾李里 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/a_cat_hp/
作成日時：2018年5月6日 22時
