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「………伊野尾くんから聞いたんだよね…」
「………はい」
人目を避けてやっと見つけた静かな場所は、守り神のような大きな木の見える花壇の近くで。
一つベンチがあるけれど、まるで僕らを待ちわびているかのように誰も座らない。
「それなら、どうして会いに来たの？……この前、知念くんは山ちゃんの気持ちが分からないって言ったよね」
「……はい」
「何か心境の変化があったなら聞かせて欲しいな。お節介かもしれないけど、それによっては山ちゃんと知念くんを会わせるわけにはいかない」
あの温厚な先輩の……初めて見る姿。
僕はそれだけのことをしようとしているってこと。
本当は一番に山田くんに伝えたかったけれど……今まで何かと助けてくれた先輩には、すべてを話さなければいけない気がした。
「……………山田くんがどうして僕を好きなのかは分かりません。
でも、気付いたんです。
山田くんはいつも然り気無く優しかったこと。
……ほんとはずっと前から、自分の気持ちが……山田くんへ向いていたこと。
胸に詰まったモヤモヤは……恋だったんだって」
僕は僕の常識を覆す出来事を認めて受け入れることが苦手で、人に隙を与えない生き方が得意。
決して冒険はしないし、近道が坂道なら遠回りの平地を歩く。
だから、土足で踏み込んでくるような人間は尤も好かない。
それを彼は……立ち入り禁止区域ですら真正面から進むんだ。
どうしてそんなことが出来るのか不思議だったけど、僕よりもずっと色んな物をみて向き合ったからだったんだと思うと………
「………僕に、最後のチャンスをください。お願いします…！」
まだ遅くない……ですよね…？
命がある限り、可能性はあるんだ。
「知念くん、顔をあげて？
お願いするのはこちら側だよ。
……山ちゃんを助けてあげてください」
そう言って、頭を下げ両膝を地面につける先輩。
やめてください、と手を伸ばす僕に構わず先輩は……
「僕から話すことではないかもしれない。けど、山ちゃんは言えないから………長くなるけど聞いてほしい」
と………あの木を指さした。
「山ちゃんね、ずっと一人で苦しかったんだと思う。
幼い頃から体が弱くて入退院が多くてさ……大好きなサッカーも、ついに出来なくなった」
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めい - めちゃくちゃ面白くて一気に読んでしまいました！他の作品も全て読ませて頂きました。更新楽しみにしてます…！ (2023年2月18日 7時) (
レス) id: ddf213f93e (このIDを非表示/違反報告)
Rio(プロフ) - 主様のお話大好きです…！！続き楽しみにしてます！ (2023年2月5日 18時) (レス) @page37 id: 9d6c92ab72 (このIDを非表示/違反報告)
suger(プロフ) - こんなに切なくて甘くて面白いお話読んだことないです！！続き、読みたいです…！！ (2021年5月15日 17時) (レス) id: 50dbc87e12 (このIDを非表示/違反報告)
綾李里(プロフ) - ゆめる。さん» ありがとうございます…！大好きのお言葉嬉しいです(^^)頑張ります…！ (2020年5月8日 17時) (レス) id: 7762ef5dd7 (このIDを非表示/違反報告)
綾李里(プロフ) - saarymcnさん» 更新遅くてすみません。涙なんて…勿体ないお言葉…！ (2020年5月8日 17時) (レス) id: 7762ef5dd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾李里 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/a_cat_hp/
作成日時：2018年5月6日 22時
