▶マッドスマイル (ページ16)

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笑顔が15こページ16

それから各部隊での1週間のローテーションが全て終わり、本格的な業務が始まった。
幹部ともなると機密事項を扱う事が多いが、それ以外についての書類を扱うことも多く、書類仕事からは逃れられない。
添加物は一般兵士の時より書類仕事は可もなく不可もなく、得意かと言われればNO、気乗りしない仕事の1つだった。
本格的な業務が始まると、幹部として絶対的に必要な業務を教えられ、幹部見守りの下実施していった。業務は基地巡回などもあるが、やはり書類仕事が一番のウエイトを占め、慣れないこともありなかなかに骨が折れる。
書類よりも他の幹部達とお喋りをして、早く仲良くなりたい添加物にとって書類仕事は苦痛でしかなかった。
だから、添加物は書類を持ってとある人物の部屋へ向かい、扉をノックして入る。

『どうしたん？あまり楽しそうじゃないね』

ak「Aさん……書類仕事がしんどくて。元々書類仕事得意じゃないので、こうも多いと全然終わらなくて……」

眉を八の字にして少し俯く添加物。その様子を見てAは椅子から立ち上がり、添加物へと歩み寄る。

『添加物ちゃんにとってこの量は多いんかぁ。それは大変やったね』

ak「そうなんです……まだ幹部見習いも慣れなくて……」

(書類仕事やるって言え！)

添加物は心の中でAに向かって叫ぶ。

『添加物ちゃんはさ、どーしてほしいん？どないしたら笑顔になるん？』

添加物の期待とは違う言葉であったが、Aは純粋に添加物に聞いているように見える。

ak「あ、その。まだ私の部屋にも書類あるんですけど、それはなんとか出来そうで……これを、何というかAさんにも一緒にしてほしくて……」

まだ書類があるなんてことはなく、ここに持ってきたやつが全てである。あわよくばこのままAに仕事を押し付けたい。
Aはそうなんやー、と言うとひょいっと添加物から書類の束を取り上げる。

『これは私がやっておくから。添加物ちゃんの笑顔見せてほしいわぁ』

その言動に添加物はニコッと笑顔でありがとうございますと伝える。

『うんうん、いいよ。添加物ちゃんも書類頑張りや。またちゃんとした笑顔見せてね』

そう言うとAは机の端にその書類をドンと置き仕事を続けた。