▶マッドスマイル (ページ2)

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笑顔が1こページ2

『今日も笑ってる？』

キラッと効果音が付きそうな声でオレ目の前にニョキっと出てきたのは、幹部の一人であるAさん。

ci「……っびっくりしたぁぁぁ！！驚かさんとってくださいよ！Aさん！！」

ぷくっと頬を膨らませ怒ってみせると、ごめんごめんと笑いながら謝ってくる。

『だってちょっとションボリしてたからさ～、どうしたんかなって？気になるやん』

オレの横に並びトコトコと着いてくるAさん。

ci「いやぁ、今からトントンの所に行かなあかんねん。多分書類の修正やねんな……」

書類の修正ってだけでも嫌なのに、トントンは最近徹夜続き。書類の不備×徹夜……言いたいことは分かるな？何を言われるか堪ったもんじゃない。
このことを聞いても尚、隣の彼女は相変わらずニコニコとした表情を崩さない。
Aさんは常に笑顔でいることで軍内でも有名だ。オスマンも笑顔が多いが、あまり一般兵士たちとの接点がないことと、怒らせたら怖いというイメージが兵士たちの中で強い。その反面Aさんが怒っているところを見たことがない……と言うのは語弊があるかもしれないが、兵士たちに注意をするときも声をあげて怒ることは無く、その後もすぐに笑顔に戻るため、より一層”笑顔”の印象が強い人なのだ。
現に彼女は今も「流石に今のトントンはヤバいな」とゲラゲラと笑っている。

ci「で、Aさん。書記長室の扉の前まで来ましたけど。なんでまだ隣に居るんですか？」

今まさに地獄への扉の前。いくら幹部であってもみんな逃げ出す場面である。しかし隣にいるAは逃げるどころか、チーノが扉を開けるのを待っているかのように佇んでいる。

『何でって……チーノ一人で行かせるとチーノから笑顔無くなるやん。あとここ数日トントンの笑顔見てないから、そろそろ笑ってもらわないと』

当たり前やろと言わんばかりの表情でこちらを見てくるA。
いや、当たり前ではないから聞いたんだが？え？これオレがおかしいの？あのトントンに会うんだよ？え、オレの感性が間違っているのか？もうわからん。誰か、誰か助けてぇ～！

『あえ？チーノ？……まぁいっか。開けるよー。やっほートントーン』