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何故だかお腹の辺りが重い。身動きを取ろうとすると、身体が思うように動かない。あれ、と目を開けると、視界に飛び込んできたのは寝室ではなくリビングの天井だった。
「……A?」
ゆっくりと身体を起こすと、俺のお腹辺りに頭を乗せて眠るAの姿があった。ソファの足元に座り込んで、もたれかかるようにうつ伏せになって眠っている。
なんでそんな格好で……と考えて、すぐに俺のせいだと思い出した。昨日は、昼過ぎ辺りから熱っぽくなって、家に着いた時には安心から気が抜けてしまって。気付いたらソファの上で、Aに色々無茶を言ってから眠ってしまった気がする。
それからずっとここに居てくれたのだろうか。別に、子どもじゃないんだから自分の部屋で眠ってくれて良かったのに、と思うけれど、一晩中側に居てくれたことが嬉く思う。
まだ起きないAの、少しくしゃくしゃになっている髪にそっと手を乗せた。柔らかい髪の毛を手櫛で整えていく。そういや、今何時だろう。
スマホどこに置いたっけ、とぼんやり考えていたら、突然アラームが鳴り出した。うわ、と反射で動いたと同時に、Aの太ももに顎を乗せてすぴすぴ眠っていたチャイも勢いよく飛び起きてうぉんうぉん吠え始める。
「なになになに!?」
アラームとチャイの鳴き声にがばりと起き上がったAが、きょろきょろ忙しなく左右を見渡す。パッと目が合うと、「勝利!」とAがこちらに身を乗り出した。
「うわ、なに」
「気分はどうですか? 熱っぽさとか怠さとかありますか?」
「ちょっとぼんやりするけど、怠さは感じない……嘘じゃないよ」
正直に答えたのに、Aが疑うような視線を向けてくる。多分、昨日の夜に熱があっても仕事に行くって言ったからだ。
「……そうだ、今何時!?」
「えーと、8時です。慌てなくて大丈夫ですよ」
はい、とAがスマホのロック画面を向けてくる。8:00の文字に、今からシャワーを浴びればドラマの現場に間に合うとほっと息をついた。
起き上がるとお腹も空いた。朝ご飯も食べないと、と考えていると、Aが体温計をこちらに差し出しながら「朝ご飯は食べられそうですか?」と首を傾げた。
「うん。お腹空いてる」
「昨日お粥作ったのがあるんですけど……それでも良いですか?」
「本当? 食べるよ」
「じゃあ温めます! 先シャワー浴びてきてください」
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ハル(プロフ) - あかねこさん» ありがとうございます(*'▽'*)読んでくださるの嬉しいです!頑張ります〜( ´ ▽ ` )ノ (2021年1月4日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
あかねこ - あ〜〜続きが気になりすぎる!更新頑張って下さい!待ってます。絶対読みます〜♪ (2020年12月29日 11時) (レス) id: 14cacb4dbc (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 駿さん» なんて嬉しいお言葉……!ありがとうございます(*'▽'*)これからもきゅんをお届け出来るように頑張ります( ´ ▽ ` )ノ (2020年12月28日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
駿(プロフ) - セクゾの小説でこんなにきゅんきゅんしたの初めてです(;_;)更新楽しみにしてます! (2020年12月28日 17時) (レス) id: c2f4c5f056 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 真緒さん» コメントありがとうございます(*'▽'*)好きと言っていただけるのとても嬉しいです…!これからも楽しんでもらえるよう頑張ります! (2020年12月18日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
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