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「よい、しょ……」


 無理やり背中側から腕を回し勝利の体をもたれ掛けさせて、ゆっくり立ち上がる。うわ、ひっくり返りそう。足に力を入れてなんとか踏ん張り、前傾姿勢になった。

 おんぶのような姿勢で廊下を進んでいく。細い勝利は多分そんなに重くない。けれど、身長差に加えて力の入ってない人を背負うのは難しくて、慎重に歩かなければならなかった。


 一歩一歩、踏みしめながら廊下を進む。それほど長くないのにとても遠く感じたリビングのドアを潜り、ソファの上に勝利を降ろした。本来ならベッドで寝かせるべきなんだろうけれど、ここが限界だった。

 ゆっくり運んだとはいえ揺れたり引っ張られたりしたはずなのに、勝利はほんの少し顔を顰めただけで眠ったままだった。自分の部屋から運んできた掛け布団を勝利に被せ、冷えピタや薬を探す。前に勝利が絆創膏を取り出していた引き出しに薬などを発見し、それを掴んでまたソファへと戻った。足下のチャイちゃんも、心配そうに鳴きながら私の後を付いてくる。


 まだ未開封だった冷えピタの箱を開けて、勝利の小さな額にそっと貼り付ける。冷たい感触に意識が戻ったのか、勝利が小さく唸りながら目を開けた。


「あれ……A?」

「勝利! 良かったぁ」


 玄関で倒れたんですよ!? とつい責めるような口調で勝利に伝えると、ぼんやりした様子の勝利は「そっか、俺車降りてそれから……」と記憶を辿っているようだった。


「とりあえず薬飲みましょう、何か食べれそうですか?」

「……ごめん、食欲ない……」

「分かりました。ちょっと冷蔵庫見てきますね」


 ゼリーとかプリンとか無かっただろうか。薬だけ飲むのはあまり良くなかった気がする。必死に熱を出した時のお母さんの看病を思い返しながら冷蔵庫を開いた。一番上の段に置いてあったプリンとスプーンを持って、またソファへ戻る。勝利は目を閉じていたけれど、私が近付くとゆっくりと目を開けた。


「プリン」

「全部じゃなくていいので、ちょっとだけ食べてから薬飲みましょう。起きれます?」

「ん……」


 気怠そうに上体を起こした勝利に蓋を開けたプリンを渡す。もそもそとスプーンを口に運ぶ勝利を横目に、ウォーターサーバーに水を汲みに行った。半分ほどプリンを食べてくれた勝利にコップを渡すと、解熱剤を飲む。これで熱が下がれば良いんだけれど。

▽→←▽ 予感的中



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設定タグ:SexyZone , 佐藤勝利   
作品ジャンル:恋愛
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ハル(プロフ) - あかねこさん» ありがとうございます(*'▽'*)読んでくださるの嬉しいです!頑張ります〜( ´ ▽ ` )ノ (2021年1月4日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
あかねこ - あ〜〜続きが気になりすぎる!更新頑張って下さい!待ってます。絶対読みます〜♪ (2020年12月29日 11時) (レス) id: 14cacb4dbc (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 駿さん» なんて嬉しいお言葉……!ありがとうございます(*'▽'*)これからもきゅんをお届け出来るように頑張ります( ´ ▽ ` )ノ (2020年12月28日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
駿(プロフ) - セクゾの小説でこんなにきゅんきゅんしたの初めてです(;_;)更新楽しみにしてます! (2020年12月28日 17時) (レス) id: c2f4c5f056 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 真緒さん» コメントありがとうございます(*'▽'*)好きと言っていただけるのとても嬉しいです…!これからも楽しんでもらえるよう頑張ります! (2020年12月18日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハル | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年12月5日 0時

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