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「僕は、思ってたよりちゃんとしてるんだなぁって思ったんだけど……」
「そう?」
「うーん、分からないならいいや。僕が聞きたかったのは、いつまで続けるの? って意味だった」
「今はこれで良いけれど、ずっとこのままって訳にはいかないでしょう?」まっすぐにこちらを見ながら、そう言われる。藍花にも同じことを言われたっけ。
「……分からない。先のことは、あんまり考えてなくて」
「まぁ、これはAさんだけじゃなくて勝利の問題でもあるけどね。僕は、このまま続けるならホントに付き合っちゃえば良いのにって思うよ」
「え」
「大事なのはAさんの気持ちだよ。自分もちゃんと幸せになる方を選んで」
真剣な表情でそう言ってくれたマリウスくんは、ちらりとダイニングテーブルの方へ視線を向けた。釣られてそちらを見ると、勝利の背中とその向かいで楽しそうに笑う聡くんの姿があった。
「もし続けるのなら……」
独り言のようにそうポツリと呟いたマリウスくんが、身を屈めて私の耳元に口を寄せる。先程からふわりと香っていた香水が更に近くなって、無意識に身体が固まった。
「勝利はねぇ、結構寂しがり屋だしヤキモチ焼きなんだよ」
「……へ?」
「だから、よそ見せずに、ちゃんと見ていてあげてね」
ナイショ話をするように、楽しそうに告げられる。寂しがり屋? ヤキモチ焼き? 勝利が?
見えない……と首を傾げると、「あー! 信じてないでしょ!」とマリウスくん。つい、正直に頷いてしまう。
「もー、10年一緒にいる仲間がそう言うんだから!」
「先輩だ!」
「そうなの、僕の方がセンパイなんだよ!」
ふふん、と得意げにマリウスくんが私を見る。先程までのアドバイスや勝利の話など、やっぱり彼は年上なんじゃないかと密かに疑っていたのだけど、この反応は可愛らしい。
「そうだ、連絡先交換しようよ! 授業のこととか聞きたいし」
「えぇ? マリウスくんめちゃくちゃ賢いじゃん……参考にならないよ」
「論文完成したら送ってね?」
「マリウスくんが良いなら送るけど」
なんでそんなに読みたいの、と不思議に思いつつもLINEを交換する。「Y.M」とイニシャルだけの名前に、アイコンはどこかの海で撮ったらしい男の人の後ろ姿。マリウスくんだろうか。
「……あ、そうだ。長続きする魔法、ひとつかけてあげる」
「魔法?」
「LINE開いて、スマホ貸して?」
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ハル(プロフ) - あかねこさん» ありがとうございます(*'▽'*)読んでくださるの嬉しいです!頑張ります〜( ´ ▽ ` )ノ (2021年1月4日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
あかねこ - あ〜〜続きが気になりすぎる!更新頑張って下さい!待ってます。絶対読みます〜♪ (2020年12月29日 11時) (レス) id: 14cacb4dbc (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 駿さん» なんて嬉しいお言葉……!ありがとうございます(*'▽'*)これからもきゅんをお届け出来るように頑張ります( ´ ▽ ` )ノ (2020年12月28日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
駿(プロフ) - セクゾの小説でこんなにきゅんきゅんしたの初めてです(;_;)更新楽しみにしてます! (2020年12月28日 17時) (レス) id: c2f4c5f056 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 真緒さん» コメントありがとうございます(*'▽'*)好きと言っていただけるのとても嬉しいです…!これからも楽しんでもらえるよう頑張ります! (2020年12月18日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
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