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「ねぇ勝利〜、土鍋ご飯炊いて?」
「はぁ? 2人がハンバーガー食べたいって言ったからハンバーガー頼んだんじゃん」
「ハンバーガーも美味しいんだけど、お米も食べたくなっちゃった」
「もぉ……」
きゅるっとした目で2人から見つめられた勝利は、「自由なんだから」と文句を言いながらキッチンへ向かって行った。しぶしぶ感を出してはいるものの、甘えられて嬉しいのか嫌そうではない。
「僕お米研ぎたい!」
「マリウス出来るの?」
「分かんない! 勝利教えて!」
パタパタとキッチンへ向かっていく勝利とマリウスくんの後ろ姿を眺める。口喧嘩みたいな会話ばかりしているから仲が悪いのかと少しハラハラしてしまったのだけど、そういう訳でもなさそうだ。まぁ、仲が悪いなら家になんて呼ばないか。
「Aちゃん」
勝利も居なくなってどうしよう、と考えていたら、ソファに座ってフライドポテトをつまんでいた聡くんが私を呼んだ。
ポンポンと空いたスペースを叩いて「こっち座りなよ」と笑う。その優しい表情に、私はこくりと頷いて腰を下ろした。
「ポテトいっぱいあるから食べなね」
「あ、ありがとうございます」
はい、と差し出されたお皿から、ポテトを1つつまむ。塩が効いていて美味しい。
私がポテトを食べる様子をニコニコと眺めていた聡くんが、「ねぇ」と楽しそうに口を開いた。
「勝利にもらったリング、ちゃんと毎日着けてるんだね」
「ふぐっ!?」
咳き込みそうになって、慌てて口を塞ぐ。ゲホ、と俯いて咳をしていると、「大丈夫?」と聡くんが背中を摩ってくれた。
「けほ……大丈夫、です」
「ごめんごめん、俺が喋るタイミングが悪かったね。
……で、それ勝利がくれたリングだよね?」
瞳をキラキラ輝かせながら指さすのは、私の左手の中指に嵌められているピンクゴールドのリング。聡くんの言う通り、勝利がくれたリングだ。
「なんで知って……」と呟くと、「勝利がそれ持って悩んでる所に遭遇しちゃってねぇ」ととても楽しそうに教えてくれた。
「やっぱり似合ってるね。可愛い」
「ありがとうございます……」
「Aちゃん照れてる! カワイイ!」
「聡くん! 揶揄うのやめてください!」
あんまり褒められ慣れてないのに、嬉しそうにかわいいと言われてしまったからあっという間に顔に熱が集まった。追い討ちを掛ける聡くんの言葉に慌てて顔を隠すと、隣に座る聡くんは楽しそうに笑った。
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ハル(プロフ) - あかねこさん» ありがとうございます(*'▽'*)読んでくださるの嬉しいです!頑張ります〜( ´ ▽ ` )ノ (2021年1月4日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
あかねこ - あ〜〜続きが気になりすぎる!更新頑張って下さい!待ってます。絶対読みます〜♪ (2020年12月29日 11時) (レス) id: 14cacb4dbc (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 駿さん» なんて嬉しいお言葉……!ありがとうございます(*'▽'*)これからもきゅんをお届け出来るように頑張ります( ´ ▽ ` )ノ (2020年12月28日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
駿(プロフ) - セクゾの小説でこんなにきゅんきゅんしたの初めてです(;_;)更新楽しみにしてます! (2020年12月28日 17時) (レス) id: c2f4c5f056 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 真緒さん» コメントありがとうございます(*'▽'*)好きと言っていただけるのとても嬉しいです…!これからも楽しんでもらえるよう頑張ります! (2020年12月18日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
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