一分間の恋人。＊桃＊ (ページ5)

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五分間。ページ5

「＿＿＿＿俺と、付き合ってください。」

『…はい？』

「は？」

まぁそりゃ当たり前の反応だわな。
俺自身もびっくりしてるもん。

「さとちゃん何言ってんの！？」

「…ダメですか？」

ギャーギャー騒ぐ莉犬の口を無理やり塞いだ。
今はAさんの答えを聞きたい。

『っあ、また明日、この時間に。』

「え、」

俺が喋る暇もなく、電話は切れてしまった。

急に変なこと言ったから引かれたとか…？
どうしよう…

俺が一人で悶々としていると、口を塞がれた莉犬は「ぷはっ」と声をだした。

「ちょっとさとちゃん！苦しかったんだけど！てかさっきの何！？」

「…俺も分からん」

ツーツーとなるスマホの画面を眺めながら自分自身を見つめる。
反射したスマホの画面から、ちょっとしたパニックになっている莉犬と目が合った。

画面越しに目があったまま話す。

「…可愛かったよなぁ～」

「うっわ！」

今の俺はきっと頬が緩みきってるだろう。
さっきまでAさんとつながっていたスマホを胸に抱き抱えた。

でも、『また明日』って言われて切られちゃったな。
なにか用事があったとかかな？そうだといいんだけど…

だって俺と電話もうしたくなかったから切ったなんて凹むじゃん。

『また明日』ってことは嫌がられてないよな…？俺には分からん…

「なぁ、莉犬。」

「どした？まさかAさんに果物ナイフ使いたいとかじゃないだろうな！」

「ちゃうわ！」

こいつ、俺のことなんだと思ってるんだ。

「『また明日』っていうことは嫌われてないよな…？」

「…」

莉犬は少し固まった後腹を抱えて笑いだした。
目にはうっすら涙が浮かんでいて、過呼吸起こしそうだった。

どんだけ笑ってるんだよ。

「さとちゃんが、そんなこと、あっは！」

「笑うな！」

こっちは本気で悩んでるっていうのに。失礼なやっちゃな。

「…あは、はぁ、はぁ、、、まぁ、嫌われてはないんじゃない？」

その一言を聞いて安心する。
莉犬ってこんなに頼れたっけ？

「さとちゃん乙女の顔してて草。」

「うっせ。」

明日のこの時間…

明日が待ち遠しい。今日は眠れないかもな。