隣で傘を ページ4
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「何にしよっかなー…。」
今さっき歩いてきた道を戻ってる途中、北ちゃんは呑気に携帯でメニューを見ている。
丸型の伊達眼鏡にマスクをしているけど、どっからどう見ても北ちゃんそのもの。
二人で中目黒を歩くなんてリスクしかないんだけど、そういうところちゃんと分かってるのかな、この子。
「Aさんのやつ、なんですか?」
『これ?これはキャラメルラテだよ。』
「あー、それもいいな。んー…どうしよう。あ、そうだ。」
『え?…あ!ちょっと!』
北ちゃんは私の手からひょいっと飲みかけのカップを取ると、そのまま勝手にひとくち口に含んだ。
「んー、うま。たまには甘いのもいいかも。」
『いやいやいや、何してるの!?それ私の!』
「一口もらっちゃいました。」
『あげるなんて言ってないじゃん!しかもこれ、…その、私飲んでたやつなのに、』
「もしかしてAさん、関節キス!って、照れてます?」
『て、照れてない!』
「可愛いーAさん。」
『っ、先輩をからかわないの!』
ケラケラ笑う北ちゃんの横で、関節キスくらいで年上の私があたふたしてるなんて。こんなところ、玲於に見られたら速攻ネタにされるんだろうな。
ショップについて案の定ファンの人にはもちろん気付かれたわけで。
さっき声を掛けてきてくれた女の子達の姿もあり、なんとなく頑張ってること伝えたくて、北ちゃんがオーダーをしている間自ら話し掛けた。
『さっきはありがとうございました。…結果、ご覧の通りです。』
「お二人、凄くお似合いです!」
『あ、それはなんというか、ありがとうと言いづらいんですが…』
北「Aさん、買えました!…知り合いですか?」
『あ、知り合いっていうか、さっき声掛けてくれて。』
「あの、北ちゃんのことすっごく大好きです!応援してます、っ。」
よく見るとその子の持つ鞄からは、北ちゃんがプロデュースしたグッズのホクプードルが顔を覗かせていた。
そっか、北ちゃんファンなんだ。それなのに私に嫌な態度も取らず…いい子。
だからせめて、北ちゃんとたくさんお話をと思ったのに。
北「ありがとうございます。けど俺、Aさんのなんで。」
『…は?いえ、違います。』
北「今は二人の時間大切にしたいから、ごめんね?」
「っ、はい!」
仮にも自分のファンの子ですよ。あの可愛い笑顔でそんなことを言う姿がもう、小悪魔にしか見えなかった。
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noa(プロフ) - おゆきさん» おゆきさん*コメントありがとうございます!そう言っていただけて、嬉しいです( ; _ ; )これからも少しずつですが更新頑張らせていただきます! (2021年3月11日 22時) (レス) id: fdd25be30d (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - はじめまして!自分の好みの作品に出会えて感動してます!応援してます!更新頑張ってください〜! (2021年3月11日 18時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:noa | 作成日時:2021年3月8日 18時