恋は思案の外。3

100 ー健二郎sideー ページ4

ほとんど暗なってきた寒空の下

Aちゃんと肩を並べて歩く。




って言うてもAちゃんは
だいぶ俺との距離とっとるけど。







にしても、
重いねんけど？






Aちゃんなら
米ぐらい買うてきてくれるやつぐらい

山ほどおるんやないんか？




って本人に言うてみても

マスクの下でボソボソっと呟かれて
全然、何言うてるかわかれへんかった。




まぁ、えぇか。









そういえば
こうやってAちゃんに会うのは


書庫でキスした以来やな、と
ふと思う。





そっからAちゃんは風邪引いた言うて
休んでたわけやし。



そりゃあんだけ寒い書庫におったら
風邪ぐらい引いてまうわな。







そや、
あんとき俺、【最低】って言われたんや。





…………すっかり忘れとったけど。







最低と呼ばれたことを
返上したいわけやないけど



たしかにあの発言はあかんかったな、
と今思えば反省できる。






ほんま、考えなしやのぉ俺。






Aちゃんに書庫でのことを切り出したら

何のことやとすっとぼけられたから




ほれ、
したやろキス、って口に出したら






急にあわあわしだすAちゃん。









…………何やねん

…………ちょっとかわえぇって思うたやんか。








けど、俺の気持ちとは裏腹に
ちょっと怒りながら






『山下さんて、
オブラートに包むっていう言葉が
存在しない人ですよね。』









え？


何か俺、あかんこと言うた？





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