恋涙-こいなみだ-【平野紫耀】

23.絶望と失望 ページ44

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廉「彼氏に黙って元彼と旅行？
てゆーか、俺らってそもそも
付き合ってすらなかった？」


廉の口調はものすごく冷静なのに
どこか軽蔑と失望が混じり合ったような
そんなトーンだった。




貴「先生とは、さよならしたの。
………これで、最後って。
黙っててごめん。」


事実を認める形になった私の言葉に
廉の表情が変わる。


その顔を見て
ああ、廉は否定して欲しかったんだと
今更ながら思う。



何言ッテルノ

ソンナワケナイ

私ハ廉一筋ダヨ


嘘でも、そう言うべきだったんだと。




廉「あいつと、切れてなかったん？
二股？浮気？
最低な女やな、おまえ。」


ストレートな廉の言葉に
思わず泣きそうになる。


廉は、ずっと優しかったのに。


廉を、こんな風に追い詰めるのは
いつも私の方だ。




貴「………ごめん、廉。
怒らないで……………。」


悔しさと悲しみが入り混じったような
そんな廉の表情を見て
私も苦しくなった。


ママに裏切られた悲しみを
私はまた、廉に味わわせている。


もう2度と、廉を苦しめたくない。
そう思ったから、私は
廉の傍にいようと決めたはずなのに。




廉「大っ嫌いや、おまえなんか。」


廉の言葉の刃が、私の胸を突き刺した。




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side of ren


無理矢理別れさせておいて
強引に彼女を自分の方に向かせておいて
それで“裏切られた”なんて
よくもまあそんなことが言えるなと
頭の片隅で、もうひとりの自分が呟く。


だけど、“正論”という武器で
彼女を追い詰めずにはいられないくらいには
俺は、彼女に対して
愛と憎しみを感じていた。




廉「俺が怒って“別れる”なんて言うと思ったら
大間違いやで。
おまえと平野のことは絶対に許さへんけど
絶対に別れたりなんかせえへん。」


俺の言葉を聞いて、彼女の瞳に
絶望が広がっていく。


ああ、A
やっぱりおまえは
平野のことが好きなのか。




廉「残念やったな、A。
どんなにおまえが俺のことを嫌いでも
一生おまえは、俺のもんや。
2度と、平野とは会われへんようにしたる。」


その瞬間、彼女が悲痛な表情を向けた。




貴「………先生に、何するの？
ねぇ廉、全部私が悪かったの。
先生は、何にも悪くないの。
お願いやから、先生には何もせんといて………！」


すがるように俺を見上げる君の瞳を見た瞬間
めちゃくちゃに、してやろうと思った。


大好きな、君も。
そんな君を奪う、あいつも。




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