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画面を開きっぱなしにして次の返信を待つ。
全くの無意味な行動に出たくなってしまうほど、どうやら私はまだ彼のことが諦めきれていないらしい。
『あでも、再来週くらいに帰れる』
彼の返信に思わず「え!」と驚きの声をあげる。
もうしばらくは会っていない。何ヶ月ぶりだろうか。
思いがけず伝えられた嬉しい報告に、先程までのしかめっ面はどこへやら、きっと今の私の顔は幸せで溢れていることだろう。
にやける口元を抑えつつ、これもすこし妬みを込めて面白くもなんともないボケを言ってみせる。
『ほんと!お姉ちゃんに言っとくね!……って自分で言いなよ!!ww』
『なにそのノリツッコミ下手くそすぎやろww言っとくわ』
『楽しみにしてるね』
『3人でどっか食べいこな』
『美味しいお店予約しとくよ』
『気ぃ早すぎww』
『ありがとう』
帰ってくるという事実に散々喜んだ後、ふと当然のことを思い出す。
今度会う彼はただの幼馴染ではなく、姉の彼氏としての彼なのだ。
彼と会って話をしたって、どれだけ長い時間を共にしたって、その目は決して自分を「1人の女」として見てはいない。「幼馴染」、「彼女の妹」。所詮そんなものだ。
(会いたい、なぁ)
私のことを見てくれる彼に、センラくんに、会いたいなぁ。
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作者名:初谷 | 作成日時:2019年7月17日 16時