朝顔に包まれて【一期一振】 (ページ34)

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三十四、ページ34

とにかく、主は逃げてください。
今の主では勝ち目がない。
そう長谷部は言うや否や、反対側、縁側に繋がる障子をすぱぁんと開けて追撃をしにいった。

他の男士たちも各自起きてきて、襲撃を止めるべく各々の仕事に回る。
迂闊だった。
最近落ち着いてきたからと慢心していたのがまずかった。
何より……本丸の場所が知られていたのが痛い。

「大将！こっちだ！」
「後藤くん！」
「俺はまだ練度低いし、大将を逃がす方に回った方がいい。いち兄とか鯰兄たちは直ぐやりにいった」
「了解」

後藤くんに連れられて、本丸内を駆ける。
しかし何処に逃げれば……？とその内焦り始める後藤くんに「こっち」と手を引く。
辿り着いたのは、玄関前の廊下だ。
周りに敵がいないのを確認して、ぐっと壁を押す。
するとくるりと壁が回転した。忍者屋敷のような仕掛け。

「すげえ！」
「万が一の時に用意してたの。ここで少し隠れよう」