朝顔に包まれて【一期一振】 (ページ14)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:2,957 hit

十四、ページ14

「ん？」
「どうしたんだ歌仙。まだ片付けは終わってないじゃないか」
「いや、これを見てくれ。どうやら手記のようだけれど……」

歌仙に差し出されたのは、1冊の手記だった。
散らかりに散らかった歌仙の部屋を清掃している真っ只中だ。
本と茶器が溢れすぎて、人様のも持ち出していたか……

「にしても、随分と風流な装飾だねえ。欲しいくらいだ」
「あー……まあ、真新しいな。歌仙は茶器の片付けでもしててくれ、ちょっと読む」
「ずるいじゃないか。というか、部屋の掃除を手伝えと言った覚えはないけれど」
「伽羅坊がうるさいんだ、“あいつのスペース狭いし汚い”って」
「……なん、だと。この僕の空間を雅じゃないと？まったくあれは風流じゃない」

などとぶつぶつ言いつつ整理整頓を再開する歌仙。
うん、それでいい。
ぱらりと頁をめくる。
……それは、彼女が残した手記だった。