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十一、 ページ11
呆然としていると、一期は私の肩をがしりと掴んできた。
「!」
「貴女という人は!騙されてはいけませんよ。今のは、時間遡行軍でしょう」
「……そう、ね」
「……何故、何故貴女はそんなにも他人行儀なのですか。私が、一振り目ではないからですか?」
「それは……」
「私のことも、見てください」
そこまで言うと、一期はがっくりと項垂れた。
私が、悪いのだろうか。
いや、悪いに決まっている。
私が前の一期を引きずっているのが悪いのだ。
そんなこと、分かっているのに。
どうしても頭から、あの優しい声が、眼差しが、離れない。
それは目の前の彼も一緒なのに。
「……帰りましょう」
「うん……」
そこからは、あまり記憶にない。
ただ、一期に手を握られていたのは覚えている。
手袋越しに伝わる体温は、確かに彼のものだった。
少し暑がりな性格も、体温が高いことも。
……よく、知っていたのだ。
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作者名:ひな丸 | 作成日時:2016年6月6日 22時