朝顔に包まれて【一期一振】 (ページ1)

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一、ページ1

「大将、」
「厚。お疲れ様、どうかした？」
「鍛刀が終わったんだ。その……」
「どうしたの、遠慮なく言ってくれていいのに」
「……いちにいが、出た」
「……え？」

朝顔がしおれた夕暮れ。
自室で、書類を片付けるべく机に向かっていたわたしは、筆を落とした。

驚いた厚が慌ててわたしに言う。

「大将！筆、紙が汚れる」
「いちご、」
「大将！」
「……ごめん、取り乱した。鍛刀部屋、行く」
「待てよ大将、俺も行くよ」

鍛刀部屋に行くと、一振りの刀があった。
洗練された刀身。
……ああ、これは、やっぱり。
厚の不安そうな顔を見て、平気、とだけ笑いかけてから、刀に触れた。
重い。
ゆっくりと、鞘から引き抜く。

途端に、ぶわ、と桜が舞い踊った。
毎度のことながら、びっくりする仕様だ。
桜吹雪がやんで、ゆっくりと目を開ける。
そこには、見慣れた、彼の姿。

「私は一期一振。粟田口吉光の手による唯一の太刀です」