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玖、 ページ9
一期さんに言われた通り待つと、一期さんは何かを携えて戻ってきた。
刀。
「いちにい、もう出すんだね?」
「主殿は、今の姿に違和感を感じているような気がして」
「えっ」
バレている。
一期さんは、「主殿、見ていてください」とだけ告げると、ぎゅっ、と刀の柄を握って抜刀した。
___変化。
抜刀した彼を見た感想は、その二文字だけだった。
黒かった髪は、涼しげな水色に変化した。同時に、優しげな瞳の色も、きらりと輝く琥珀色に。
服すらも変わった。近所の親しいお兄さん、と言った風貌があっという間に絢爛豪華になっている。物語に出てくる王子様のようだ。ロイヤル。
ぽかーんと口を開けている私に、一期さんは言った。
「私の、本来の姿です。ずっとこのままだとさすがに怪しまれてしまいますので。ちょっとした術を」
「……きみ、本当に日本刀?」
「日本刀です」
「……はあー、ロイヤル。ロイヤルだよ。私こんな王子みたいな人と話してたんか」
「ちょっと前までは一つ屋根の下だったぜ」
「はあー……」
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作者名:ひな丸 | 作成日時:2016年7月11日 23時