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話さない。話せない。
今の私と及川さんは、そんな状況に陥っていた。
前まではあんなに話していたのに。
「……元気ないね」
「別にない方がいいんじゃない」
「及川さんのこと?」
「……はっ、なんで知って、」
「見てりゃわかる」
「……そう」
私は顔を伏せた。
国見は私をその黒い目で見つめたあと、静かに目をそらした。
何も話さないまま、続く。
「ちゃんと話してみないと、伝わらないこともあるよ」
「……え?」
私が顔を上げると、今度は国見が顔を伏せた。
「言ってみないと分かんないでしょ。俺らテレパシー使えるワケじゃないし。俺だってそういう経験くらいある」
「……そう」
「どうにかして話せよ。俺は別にどうでもいいけど」
「そう、かな」
「……お前見てるとイライラする」
「はは、愛情の裏返し?」
「なワケない」
私はそっと席を立ち上がって、国見に言った。
「ちょっと行ってくる」
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作者名:ひな丸 | 作成日時:2016年4月29日 0時