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14。 ページ16
「で？」
「えぇ？」
「ここに来たってことは、何か言いに来たんじゃないの？」
「……花巻さんから切符渡されたから来たんです」
「東京観光？」
「何処の誰が花巻さんに切符あげたって言うんですか」
「……あぁ、まあ、ごめん」
ぐいん、と体をそらして、及川さんはぽつりと呟く。
「……なんか、落ち着いて話せる気がしてさ」
「落ち着いて、ですか」
「一応俺の新居扱いだけど、少なくとも路上よりはずっと落ち着くよ」
ぐ、と限界まで体をそらしてから起き上がって私を見る。
それから、こう言う。
「ごめん、普通に好き、って言われてもよく分かんないよね」
「めっちゃ動揺しました」
「あはは……俺、その、回りくどいことしか出来なくて」
「しゃきっとしてくださいよ」
「うわ辛辣……岩ちゃんを思い出す」
と、少しばかり元気を取り戻したかのように笑う。
それから、すっと目を細めた。
「正直、Aちゃんから好きって言ってもらったのすごい嬉しかった。嬉しかったけど、自分の気持ちを言うのが……」
「なんでですか」
「……だめだ、Aちゃんの前だと全然誤魔化せない！」
「誤魔化さなくていいです」
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作者名：ひな丸 | 作成日時：2016年4月29日 0時
