プラトニック・ラヴ【及川徹】【完結】 (ページ15)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:816 hit

13。ページ15

突然、肩にぽんと手を置かれた。
警察かと身構えると、口からばあっと言葉が溢れる。

「ハッ、ハイ！不法侵入じゃないです！！ちゃんとインターホン押します！！不法侵入じゃないんですうぅぅ」
「……何してんのさ」
「はっ？」

声に驚いて見上げると、エコバッグを肩にぶら下げた及川さんが。
それに気づくやいなや、私はくるりと方向転換、いつでも逃げられるように後ろに回った。

「お、及川さん、こほん、失礼しました」
「今さら平静を装ってもムダだかんね？……ま、いいや、入って」

慌てて平静を装うもさすがに無理だった。
及川さんに促されて中に入る。

そこは、殺風景だった。
テーブルとか、イスとか、ソファ、テレビはきちんとある。
いくつかの荷物はどうやらまだ荷ほどきをしていないらしい。
はしっこにダンボールがあった。

「ごめん、生活感なさすぎる部屋だわ」
「い、いえ……」
「ソファ座ってて。テレビも好きなの見てていいよ」
「あ、ありがとうございます……」

とりあえずソファに座る。
そわそわと、なんだか落ち着かなくて思わずテレビをつける。

「あれっ？おばんドゥースみやぎやってない……？」
「ここ宮城じゃなくて東京だよ？東京は東京の番組やってるの」
「へ、へえ……」

言われてみれば、あれは宮城のローカル番組だった気がする。……ちょっと恥ずかしい。
しばらくすると、及川さんが戻ってきてソファに座る。