プラトニック・ラヴ【及川徹】【完結】 (ページ14)

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「……人、多い」

私はどうにかして混乱のど真ん中のホームから外へと抜けた。
及川さん、こんなところに住んでるんだ……
いやさすがにもうちょっと駅からは離れてるけど……
東京なんて指折りで数えられる程度しか来たことないから、とても地理には疎い。

か、帰りたい……
ちなみに、母には「友達の家に泊まる」と言っている。
一番信頼できる友人に話したら、「おっけ、そういうことにしとく」と快く承諾してもらったのだ。

その友達は中学の友達で、今は別の高校だ。
家もそこそこ遠いから滅多に会うことはない……はずだ。
バレることは早々ないだろう。
そう思ってバスに乗り込む。

ー＊ー＊ー＊ー＊ー

「……」

着いた。
意外とあっさりだった。
もうアパートの部屋の目の前で、あとはインターホンを押すだけ。
紙に書かれた簡易の表札を見て、きょろきょろと辺りを見渡す。
ど、どうしよう、誰かに見られたら、なんか怖い。
誰も周囲にいないことを確認してから、インターホンに手を伸ばす。