36.偽りのない君へ ページ39
しばらくして一通りお世話が終わって、今はせっかくだしまだ時間もあるからと花壇の解説をしてもらっていた。
お察しのとおり私には園芸の知識なんてさっぱりないから、花を見ても綺麗だなとか可愛いとかありきたりな感想しか出てこないのだけど、らんちゃんの説明を聞きながら見ると少しは違った感想が……出てくるかと思ったがそうでもなかった。綺麗なものは綺麗。
それでも綺麗なことには変わりないし、綺麗なものには条件なしに惹かれるというのが人というもので、私の目は美しい花々に釘付けになっていた。これを育てられるらんちゃんはすごい。魔法使いみたいだ。
ht「気に入ったのがあったら鉢に植えかえるから部屋に飾って育ててみる？」
そんな私を見てらんちゃんがそう提案する。
その顔はとてもやさしくて嬉しそうだった。
けれど私はやんわりと辞退する。
育ててみたい気持ちは今芽生えた、でも、まずもって植物は専門外だし、植物にしても、私よりらんちゃんに育ててもらった方が安心して綺麗に花を咲かせられるだろう。
その旨を伝えると、
ht「うーん、そんなことはないと思うけど……。そうだ、ちょっと待ってて。」
そう言ってらんちゃんはどこかへ行ってしまった。
花を育てる、かぁ。確かに素敵だけど、私には絶対向いてないな。
目の前の花たちはこれでもかと咲き誇っている。らんちゃんが丁寧にお世話してるんだろうなというのがよく分かる。実際今日もそうだった。毎日これだけたくさんの動植物をお世話するのは大変だろうに。本当に好きなんだな。
そんなことを考えているとらんちゃんが戻ってきた。その手には鉢と、種？
ht「これAにあげる。ネメシアっていう花なんだけど、育てやすいから初心者でも綺麗な花を咲かせられると思うよ。」
そう言って彼は鉢に土を入れて、なんだかよく分からないうちに手際よく種を植えてしまった。
「らんちゃんさっきの話聞いてた？」
ht「聞いたけどその優しさがあるなら大丈夫。」
植物のことを考えられる人に悪い人はいないから、とつけ足す。更には、
ht「俺がAにプレゼントしたいって思ったから貰ってほしい。」
なんて言われて断れるはずもなかった。
ht「詳しい育て方はまた紙にでもまとめて渡すね。とりあえずそろそろ時間だから朝飯行こうか。」
そうして私たちは城内へと戻った。
未だに頭は痛むけれど、心はまだ見ぬ花にわくわくしていた。
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ツネキ - お話のつなぎ方、お上手ですね…。いいな…。私の場合、文章を書こうとしても話がコロコロと変わってしまって…。それプラス話の繋ぎ方がどうにも下手くそで、へんな文章が出来上がってしまうんですよね…。尊敬です…！！ (2020年3月11日 5時) (
レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
こは(プロフ) - 雪兎さん» 雪兎様、応援とご心配ありがとうございます。全然無理はしていないので大丈夫ですよ！拙い作品ではございますが、これからも楽しんでもらえると幸いです*^^* (2019年12月5日 23時) (レス) id: ce808de654 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - いつもいつもお疲れ様です。これからも頑張って下さいね！応援してます！あっ、無理は禁物ですからね！お体に気をつけて下さいね？ (2019年12月5日 20時) (レス) id: 2fbdad1c3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こは | 作成日時：2019年11月23日 20時
