助けてください ✽ 愛乃 ページ4
*
やっちまったぜ。
気づけば一人の少女を下敷きにしていた。…って言ってる場合じゃない。
ど、どういうことですか
「ど、どっかぶつけてませんか！生きてますか！」
「ちょ、ちょっとまて」
いかにも平気そうな声が聞こえてくるが、明らかにこっちのセリフだ。
いや潰している側の自分が言うのも少しおかしいか……って違う違う！
困惑しながら後ろの状態を確認すると、白と水色のグラデーションがついた長い綺麗な髪が顔を出していた。
どうしていいかわからず困惑していると、もそもそと服のこすれる音が聞こえてきたのでひとまず安心だ。生きてる。
「これなんて機械ですか？」
「それ今じゃないよ絶対」
ついでにぶっ飛んだ質問まで飛んでくるため絶対にこの人は大丈夫だろうと確信を持った。
その事実だけでおれはほっとしてしまう。
ただ問題はここからで……うーん…一体どうすればいい。
もたもたしていると前のほうからから物凄い速さの足音と何かを必死に叫ぶ声が聞こえてきた。
「大丈夫ですか！！！！！」
助けてください。
―――
―
「た、助かった…」
一人の少年が駆けつけてくれたおかげで、なんとか起き上がることができた。
急に世界が90度に回転するものだから、まだ普通の重力に慣れ切れていない。
昔はこんなことも余裕だったのに、体力落ちたなぁ…なんて思いながら彼に感謝を告げる。
ニカッと笑う少年の顔を見ていると、なんだかこっちまで元気をもらえる気がする。
「あー助かった！ありがとう天馬！」
勢いよく起き上がるとさっきまでつぶされていた人とは思えないくらいニッコニコのパワフルスマイルでお礼を言う少女。
この二人、お知り合いなんだなぁ。
…なんて思っていると、お互い自己紹介が始まった。
少年の名前は、さっきの子が呼んでいた通り、天馬君。
そして元気に潰された少女の名前は、こはくちゃんというらしい。
二人とも同じ一年生みたい。入学式前に同じ学年の子に出会えるなんて、正直ラッキーだ。
折角の同級生なんだ、気楽に行こう。
気持ちを改めて、大きく空気を吸った。
「おれは森楪月 彗霖！よろしくなっ！」
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