代わり ໒꒱ 天利 ページ16
＊
こういうのを、人は必然と呼ぶのでしょうか。
｢俺は雷門中キャプテン、神童拓人！
そして、ここに居るのが……雷門イレブンだ！！｣
神童拓人、と名乗った彼の後ろから出てきたのは、黄色と水色のユニフォームを身につけた選手達。
先程までグラウンドで戦っていた彼らのユニフォームと似ているけど、あのユニフォームを知っている人には光ってすら見えるのではないだろうか。
｢ところで……りーちゃんはあの中の誰かと知り合いなの？｣
｢知り合いっていうか……幼なじみ？｣
｢……そっかぁ……｣
先程……彼ら雷門イレブンが現れた辺りから、りーちゃんの表情はどことなく緩んで見えた。
どんな理由かと思えば、幼なじみ……らしい。
きっと、りーちゃんにとって大切な人なんだろうな。
……いいな、と思っちゃうのは許して欲しい。
ちょっと苦い記憶を思い出してしまうのも……許して欲しい。
｢神聖なグラウンドで、お前達は何をしているんだ！！｣
｢サッカー。見てわかんねぇのか？｣
神童拓人くんは不良くんの挑発じみた発言に顔色を変えることなく、傷だらけでベンチの方に集まっている彼らを見た。
｢礼儀を知らない1年が、セカンドチームを倒したからっていい気になるな！｣
｢倒した？ちょっと遊んでやっただけさ｣
コートに降りてきた神童拓人くんは、飄々とした態度を崩さずに監督さんに何かを聞いているみたいだった。
監督さんからの返答が予想外のものだったのか、神童拓人くんは目を見開いた。
｢何をしに来た｣
｢雷門サッカー部は指示により一新される。お前らは全員お払い箱に決まった｣
｢何だと？｣
その言葉を本物にするかのように、不良くんを中心に10人の選手らしき人達が集まった。
｢紹介しよう……これが新たな雷門イレブンだ。
お前達の代わりのな｣
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