絶対エースの彼氏さんは裏表が激しいようです

好きって言いたい〜過去編〜 ページ11

山田 side

薮ちゃんが…俺に言いたいこと？

知念のこと…？

知念のことが好きだから、近づくなって……？

ヤダ………！そんなの聞きたくない…！

「涼介、俺は……」

「薮ちゃん、好きっ！」

「え？」

先にいいよ、なんて言ったのに被せるように言ってしまった。

だって、近づくなとか言われた後に言えないもん。

なら、先に言わないとって焦っちゃった。

…どうしよう。薮ちゃん、驚いてる……

「…ご、ごめん。先に変なこと言っちゃって……」

「…はあ…………」

呆れてる…？やっぱり、気持ち悪いよね。

俺なんかに……

「…それ、俺が言うはずだったんだけど」

「え、…？」

「好きだよ、涼介」

なんで…だって薮ちゃんは知念が……

「…同情なら、しなくていいよ？」

「同情とかじゃ……」

「だって、！薮ちゃんは…知念が好きなんでしょ？
いつも知念と一緒にいるし……でも、安心して？
俺は今日、ちゃんと振って欲しいだけだからさ」

嘘だ。本当なら、薮ちゃんと付き合いたい。

でも、俺なんかがありえないから。

薮ちゃんの言う俺への好きはアニキとしてだから。

「…ちゃんと聞け、涼介」

ふわっとした感覚。

薮ちゃんに……抱きしめられてる？

「同情とかじゃない。俺はお前のことが男として好きだ。なかなか勇気が出なくて悪かった」

「そんな……だって…」

「侑李にさ、このままだと明日お前を奪うって言われて、意地でも今日伝えてやるーって。

……カッコ悪いだろ？俺。年下に煽られて抜け駆けしてるんだもんな」

「…うそ……だって、知念は薮ちゃんが好きだって…！明日、薮ちゃんと遊ぶときに告白するんだって…だから、その前に気持ちだけ伝えたくて……」

「……侑李が？」

背中に回った腕が、後頭部に優しく触れる。

俺、まだ髪濡れてるのに……

でも、暖かくて気持ちいい…

「……涼介。今から俺は絶対に嘘は言わない。だから、信じて？」

「…うん」

「山田涼介さん。ずっと前から好きでした。こんなポンコツで頼りない俺ですが、俺と…付き合ってください」

「はい……！」

本当に嬉しくて、涙が出てくる。

「…涼介、侑李に連絡しようか」

「……なんで？」

「気づいてないの？(笑)侑李、俺たちをくっつけようとしてくれてたみたいだよ」

…言われてみればそうかも。

俺には薮ちゃんが、薮ちゃんには俺が好きだって言って、明日告白するって……

「…やっぱり、知念には叶わないな」

「そうだな」

ありがとな、知念。

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