42話(圭人視点) ページ42
やまちゃんがけいとと大ちゃんの前で連れ去られた。
「おい圭人!追いかけるぞ!」
「うん!」
2人とも足の速さにはまあまあの自信がある。
それでもやっぱり車の速さに勝てるわけがなくて。
「くそ……!どうしよう、とりあえず警察に…」
「あ〜…やまちゃんママに連絡しとかなきゃかな…」
連絡…そうだ、いのちゃん先輩!
この前交換した連絡先を開いて簡潔に事情を説明した。
普段は返信早いのになぜか今日に限っていつまでも既読はつかないけど。
「圭人、近くの交番行こう。ナンバープレートは覚えてないけど車の種類とか色とかなら覚えてるし」
「ナンバープレート、ちゃんと覚えてるよ!これで絶対すぐ見つかる!」
……と、思ったのにどうやら今日はついてないみたいで交番には誰もいないし大ちゃんが110番しようとしたら充電は切れるしでやまちゃんに全く近づけない。
「あ!そうだ、こんなときこそGPS!!」
慌てて開くとそこには確かにやまちゃんの反応がある。
見たところ、ここからだいぶ離れた町のようだけど……
あれ?反応消えちゃった……
「どうだった?」
「とりあえず今いた場所はわかったけど…結構遠いの。だから1回お金持ってこよ?タクシーとか電車とか使わなきゃとてもじゃないけど行けない距離だから……」
「わかった、じゃあダッシュで家に戻ろう。あともしかしたら時間かかるかもしれねえし、山田の母さんに俺の家に泊まるって言っといた方がいいと思うよ」
「え、いいの?でも辻褄合わせとか…」
「俺は兄ちゃんと2人で住んでるから大丈夫!兄ちゃん、話してさえおけば協力してくれるから」
というわけで大急ぎでやまちゃんのママにメールして、やまちゃんが疲れて寝ちゃってちょうど部活休みが被ったからこのままお泊まりするってほぼ100%嘘の報告。
家に帰ってママに同じような説明をしてから持ち出せるだけのお金と念の為のお薬とモバイルバッテリーをカバンに放り込んでまた大ちゃんと待ち合わせ。
さっき、ほんの一瞬だけ反応があった地点へは電車をたくさん乗り継いで、バスに乗ってまたしばらく歩かなきゃつかないような遠いところらしい。
やまちゃんが誘拐されたのがだいたい午後5時。
そして今はもう9時に近い時間。
やまちゃん、大丈夫かな……
「なぁ、こいつずっとDropしてるぜ」
「目やばいぞこれ。頭トんでるだろ」
できるだけ心を落ち着かせてからバレないようにそっと廃工場の中を除いた。
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作者名:るち | 作成日時:2021年1月12日 11時