36話 ページ36
えっと…状況が整理できないのですが…
とりあえず俺は誘拐されたようです。
なんだかよくわからないけど口をガムテープで塞がれて後部座席の足元に転がされてます。
目隠しとヘッドフォンのせいで犯人の顔も声も何もわからない。
正直に言うとすごく怖い。
怖くて声が出ないし、上手く動けないし。
何よりも変な姿勢のせいで車酔いが酷い……
そもそも乗り物得意じゃねえのに……
あ、止まった。
着いたのかな。
あれ、俺ってもしかして今かつがれてる?
うえぇ…高い上に揺れてて気持ち悪い……
って、いってぇ!
わざわざ投げることねえじゃん、なんなのこいつ。
腕と足が縛られた代わりにヘッドフォンも目隠しも口を塞いでいたガムテープも取られた。
まだ眩しくて慣れない目を一生懸命こらして自分を誘拐した犯人を見る。
これは……もしかして、
「よう、久しぶりだなぁ?山田クン」
「味澤、くん……?」
そこにいたのは間違いなく味澤くんだった。
そして彼の取り巻きのうちの2人と…その他数人の大人。
若い人ばかりで合わせて10人弱くらい。
これ、どう考えても多勢に無勢じゃん。
「…なんで味澤くんが?それにこの人たちは…」
「ああ、教えてやるよ。ここにいる全員、お前を狙ってたんだよ」
「………え…」
「こっちの大人たちはいわゆるハンターってやつでさ、お前みたいな顔のいい男のSubを攫って遊ぶのが好きな集団なんだよ。俺はその一員でお前の情報を提供したら次のターゲットがお前になったってわけ」
「おい坊や、そんな言い方したら俺たちがただの変態みたいじゃないか」
「ごめんって。でもこいつやっぱり当たりだろ?」
「ものすごい上玉だ…ずっと準備してきた甲斐があったな」
日常会話のようににこやかに進められる会話に恐怖が強くなって。
「ずっとって、いつから……」
「俺がお前に目をつけたのは入学してすぐだ」
「え、でもその頃はまだ知り合ってないし……」
「お前どう見てもSubだしな。仮入部で見かけてからは確信してその頃からお前の観察を始めたんだよ」
じゃあ前に先輩が教えてくれたのって味澤くんたちのことだったのか…?
あれからもずっと後をつけられてたってこと?
「退部になるのはさすがに想定外だったけどな。まあまあ楽しめたしあれでいいデータが取れた」
「…なんでそんなことするんだよ、どうして俺に……!」
「決まってるじゃん、お前がワケありって知ってるからだよ」
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作者名:るち | 作成日時:2021年1月12日 11時