35話 ページ35
「え……」
全く予想もしてなかった答え。
だって今までそんな雰囲気出されたこともないし、俺の話をしても特に何も言わなかった。
「やっぱりびっくりした?俺って全然そんな感じしないだろ?」
「…ごめんだけど、本当に全くそうだとは思ってなかった」
「あはは、まあ俺はお前の逆で弱いDomだからさ。言わない限りほとんど気づかれねえんだよ」
「SwitchかSubかと思ってた。それかNormalかなって…」
「あー、よく言われる。山田はさ、嫌じゃない?俺は弱い方だとはいえ、お前を傷つけたやつと同じDomだけど…それでも俺とこうやって一緒に帰って、くだらねえ話して、サッカーして、一緒に笑っててくれる?」
「…何言ってんの、当たり前じゃねえか」
そんなの、聞く理由がないだろ?
「…確かに、Domだけど…伊野尾先輩とも同じDomだろ?あの時だって先輩と一緒に俺を守ってくれたし」
その言葉で俯いていた顔を上げてくれた大ちゃん。
ようやく重なった視線に優しく笑いかけた。
「大ちゃんが俺やけーとを傷つけたりするような酷いやつじゃないってもうとっくにわかってる。だからいい、大ちゃんには一緒にいて欲しい」
今の俺がいるのは大ちゃんのおかげだ。
あの日、大ちゃんが声をかけてくれなかったから。
俺はサッカー部に入ってなかった。
そしたらきっと前髪を上げることもなかった。
ちょっと疲れるけど楽しい毎日なんてきっともう体験できないはずだった。
「…大ちゃんにはいっぱい感謝してる。俺は…他の人よりいろいろめんどくさいSubだけど、懲りずに一緒にいてくれる?」
「……っ、もちろん!」
「やまちゃ〜ん、大ちゃ〜ん!!おかえりー!」
「けーとじゃん!おーい!」
まさか、夏休み中でも毎日のように出迎えてくれるなんて。
嬉しくて思わず駆け出した俺を大ちゃんの呆れ声が追いかけてくる。
「やっぱり圭人のこと好きだな、山田は」
「幼なじみだし、当たり前だろ!」
ギィー、と嫌な音と共に俺のすぐ横に小さな車が止まった。
なんなんだろう、そう思う暇もなく俺は……
「山田!」
「やまちゃん!」
その車に引きずり込まれていた…………
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作者名:るち | 作成日時:2021年1月12日 11時