検索窓
今日:23 hit、昨日:27 hit、合計:54,358 hit

22話 ページ22

学校でそういうことも多少習ったし、俺も男だからそいつが何を求めてるかなんてすぐにわかった。

助けを呼ぼうと思ったけど声を出そうとする度に殴られる。

『Subのくせに』

『Subの分際で睨んでるんじゃねえよ』

怖かった。

頭の中がごちゃごちゃになって、真っ白になって、体もずっと震えてるし、涙も止まってくれなかった。

そしたらそいつがいきなり倒れて。

何かと思ったら、部活終わりでたまたま通りかかった宏太兄ちゃんがそいつを殴って倒してくれたんだ。

嬉しかった。

やっぱり兄ちゃんは俺のヒーローだって、心の底から安心したんだ。

……なのに、違かった。

兄ちゃんは、いきなり俺を抑えつけた。

『……お前が悪いんだからな』

ってだけ言って。

今考えるとDomだった兄ちゃんは俺の目に影響されたんだと思う。

まあ、元からそういう特性がある目なのにさらにあんなシチュエーションで女顔って言われる俺に見つめられたら思春期の兄ちゃんがああなるのもわからなくはない。

そのまま俺のファーストキスは兄ちゃんに奪われた。

俺、たぶんあのときDropしちゃったんだと思うんだけど、過呼吸なって何にもわからなくなって。

きっとそこで兄ちゃんは冷静になったんだと思う。

careしてくれて、そのまま俺の家まで送ってくれた。

今は俺も高校生だからいろいろわかるし、落ち着いて話せるけど当時は全然そんなのわかんねえ上に既に頭の中がごちゃごちゃだったからひたすらに兄ちゃんは俺のヒーローじゃなかったって事実だけ突きつけられて打ちのめされてた。

俺の大好きだった宏太兄ちゃんはどこに行ったんだろうって。

俺もきっとそうだったんだろうけど兄ちゃんもびっくりしたような悲しいような顔しててさ。

それ以来、ちょっと怖くなっちゃって連絡取らなくなったんだ。

宏太兄ちゃんもサッカーしようって誘ってくれなくなったし。

結果的に、兄ちゃんは高校進学と同じタイミングでこの街を出ていった。

あんなことがあってもやっぱり俺は宏太兄ちゃんを兄として慕っていたからちょっと寂しかったんだ。

それから、俺は圭人と一緒に宏太兄ちゃんが通っていたのと同じ中学に進んだ。

運動部がそれなりに栄えてる学校だったんだけど、なんていうかバカが多くてさ。

下品なやつも不良っぽいやつも多かった。

親しくなったら口悪い俺だけど知っての通り最初は大人しいから、それでいろんなやつに目付けられたんだ。

23話→←21話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (64 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
201人がお気に入り
設定タグ:Hey!Say!JUMP , BL , いのやま、inym
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:るち | 作成日時:2021年1月12日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。