22話 ページ22
学校でそういうことも多少習ったし、俺も男だからそいつが何を求めてるかなんてすぐにわかった。
助けを呼ぼうと思ったけど声を出そうとする度に殴られる。
『Subのくせに』
『Subの分際で睨んでるんじゃねえよ』
怖かった。
頭の中がごちゃごちゃになって、真っ白になって、体もずっと震えてるし、涙も止まってくれなかった。
そしたらそいつがいきなり倒れて。
何かと思ったら、部活終わりでたまたま通りかかった宏太兄ちゃんがそいつを殴って倒してくれたんだ。
嬉しかった。
やっぱり兄ちゃんは俺のヒーローだって、心の底から安心したんだ。
……なのに、違かった。
兄ちゃんは、いきなり俺を抑えつけた。
『……お前が悪いんだからな』
ってだけ言って。
今考えるとDomだった兄ちゃんは俺の目に影響されたんだと思う。
まあ、元からそういう特性がある目なのにさらにあんなシチュエーションで女顔って言われる俺に見つめられたら思春期の兄ちゃんがああなるのもわからなくはない。
そのまま俺のファーストキスは兄ちゃんに奪われた。
俺、たぶんあのときDropしちゃったんだと思うんだけど、過呼吸なって何にもわからなくなって。
きっとそこで兄ちゃんは冷静になったんだと思う。
careしてくれて、そのまま俺の家まで送ってくれた。
今は俺も高校生だからいろいろわかるし、落ち着いて話せるけど当時は全然そんなのわかんねえ上に既に頭の中がごちゃごちゃだったからひたすらに兄ちゃんは俺のヒーローじゃなかったって事実だけ突きつけられて打ちのめされてた。
俺の大好きだった宏太兄ちゃんはどこに行ったんだろうって。
俺もきっとそうだったんだろうけど兄ちゃんもびっくりしたような悲しいような顔しててさ。
それ以来、ちょっと怖くなっちゃって連絡取らなくなったんだ。
宏太兄ちゃんもサッカーしようって誘ってくれなくなったし。
結果的に、兄ちゃんは高校進学と同じタイミングでこの街を出ていった。
あんなことがあってもやっぱり俺は宏太兄ちゃんを兄として慕っていたからちょっと寂しかったんだ。
それから、俺は圭人と一緒に宏太兄ちゃんが通っていたのと同じ中学に進んだ。
運動部がそれなりに栄えてる学校だったんだけど、なんていうかバカが多くてさ。
下品なやつも不良っぽいやつも多かった。
親しくなったら口悪い俺だけど知っての通り最初は大人しいから、それでいろんなやつに目付けられたんだ。
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作者名:るち | 作成日時:2021年1月12日 11時