センパイ (ページ17)

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17話ページ17

「…っ手、離せよ！」

何年か振りに人を睨みつけた。

「てめえ…Subの分際で生意気なんだよ」

「Subは大人しくご主人様に従えって言ってるんだよわかるか？」

「あんたらをそんな風に認識した覚えはねえよ。俺は…低俗な連中に媚び売るほど落ちぶれてねえからな」

「……今謝ればまだ許してやるけど？このまま部活続けたいなら考えたほうがいいんじゃねえの、山田クン？」

「俺が謝る理由なんてない、俺は間違ってねえよ！」

メガネ越しに交わる視線。

最悪なことにこいつらはみんなDomかSwitch なようで、強いGlareを浴びせられる。

普段ならこれだけのGlareには耐えられないのに。

気休めのメガネの効果か、怒りのおかげか、今日は気持ちを強く保てた。

「…じゃあ、お前の立場を教えてやるよ」

髪の毛から手を離されたかと思ったら顎を掴まれて別の人にメガネを奪われ、壊された。

至近距離で俺の目を直接見てGlareを出してくる味澤くんにこの先の展開は全て読めてしまって。

「これくらいのことはできるよなぁ…？… kneel」

体が勝手に震える。

commandに従おうとする体と、拒否する心がせめぎ合って頭の中がごちゃごちゃになってきた。

『Subのくせに』

うるさい、俺だって好きでそうなったわけじゃない。

『Subの分際で睨んでるんじゃねえよ』

黙れ黙れ黙れ。俺にだって人権くらいあるんだ。

『なあ、こいつ本当に言うこと聞くぜ！』

嫌だ、怖い。やめろ、それ以上俺に触るな。

『……お前が悪いんだからな』

なんで、なんであんたまでそんなこと言うの？

『その顔、最高……もっと見せて』

お前だけは信じてたのに、やめてよ。もう嫌だ……！

「な、なぁ…こいつなんか様子おかしくね？」

「過呼吸起こしてんじゃん…」

「そんなの関係ねえよ、ほら早くkneelしろって言ってんだろ！！」

「はいはい、いい加減やめようね～。この子がDropしてるの気づいてないわけ？」

「山田！大丈夫！？」

誰……？誰の声…？

ぼやける視界で俺を支えてくれてる1人と、俺に背を向けて立ち塞がってくれてるもう1人だけは俺の味方なんだってわかった。

「大ちゃん、山田を渡して。俺に任せて」

「でも……！」

「これ持って熊田くんと顧問に報告しておいで。この子らの顔と名前全部わかるんでしょ？」

「…わかりました」

「…山田、よく頑張ったね。最後まで負けなかったんだよ。偉いよ、good boy」

なんでだろう、この人の声は優しい。

どんどん意識が落ちていく……