16話 ページ16
「お疲れ様でした!」
部活終わりの更衣室はいつも汗臭い。
先輩優先だからその間に俺たち1年は片付けしたり、コート整備し直したり、自主練したり。
俺と大ちゃんはいつも最後までパス連を続けてから帰る。
2人でゆっくり話せるこの時間を実は結構気にいってるんだ。
「なあ山田クン、話あるんだけどちょっといい?」
「うん、いいけど……」
同期の…味澤くんとその取り巻きみたいな人たち。
味澤くんはなんか少しチャラくて良くない雰囲気の人だけど、一応学年キャプテンなんだ。
「なあなあ、それ俺も着いてくけどいい?」
「有岡クンも〜?出来れば山田クンだけで来て欲しいんだけど」
「なら、山田は連れていかせないよ」
「いいよ、大ちゃん。すぐ戻るし」
「山田クンがそう言ってくれるならいいよな?ほら、早く行こうぜ」
なんだか嫌な予感がする。
取り巻きの人たちもニヤニヤしてるし。
でも、俺にだってきっとなんとかできる。
いつまでも圭人や大ちゃんに頼ってるわけにはいかないんだから。
「…こんなところで、なんの話?」
連れてこられたのは人目につかない倉庫裏。
同じ倉庫でも普段は使われない古い方の倉庫だから余計に嫌な予感がして。
「単刀直入に言うけどさあ……お前調子乗ってんだろ?」
「別に……そんなつもりは」
「ないとは言わせねえよ!熊田サンのお気に入りとかどんなコネ使ったんだよ」
ほら、どうせそうだと思った。
キャプテンに目をかけてもらってることを妬む人は絶対いる。
そんなこと最初からわかってた。
「そのダッサイ前髪とメガネでどんな運動音痴の陰キャかと思ってたら熊田サンに気に入られて一軍入り?どうせドーピングでもしてんだろお前」
キレるな、落ち着け…こいつらに何を言っても無駄だから……
「おい、なんか言えよ!」
とんでもない言いがかりと胸ぐらを掴む乱暴さが俺の抑えてたものを解放したんだろう。
「…俺は!あんたらと違ってしっかり練習してんだよ!!そんなことすら見ててわかんねえくらい腐った目してんなら部活なんてさっさと辞めやがれ!!」
大好きなサッカーも、サッカーへ向ける俺の思いも、否定されるのは何よりも許せないことだった。
常に楽をして練習している彼らに言われるなんて心外にも程がある。
「……てめえ、調子乗んのも大概にしろよ…!」
危ない、と思った時にはもう遅かった。
腹に衝撃が走り、倒れそうになったところで前髪を掴まれた。
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作者名:るち | 作成日時:2021年1月12日 11時