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11話 ページ11

「本当にさっきの山田は可愛かったなぁ……」

「う、うるさい!大ちゃんのあほ!」

大ちゃんって本当にしつこい。

だいぶ暗くなった夜道を並んで歩きながらそうやってずっと俺をからかってくる。

「そういえば大ちゃんって家こっちの方なの?」

「俺ん家?んーっとね…反対側かな」

「はぁ!?じゃあお前なんでこっち来てんの!?」

「圭人がさー、なるべく山田を1人にするなって言うから送ってやろうかなーって」

「大ちゃんが帰るの遅くなるだろ?いいから帰れよ」

「俺は全然平気!慣れてるし実際学校のすぐ近くだから山田を送ってちょっと引き返していけばもう家なんだよ」

「でも……」

「お前は変な奴に目をつけられやすいんだろ?危ないし俺だって心配なんだよ」

大ちゃん…………

「ねえねえ、変な奴って誰のこと〜?」

げ、この声は……

「伊野尾、先輩…」

「やっほー、山田。あと、大ちゃんだっけ?」

「俺の名前まで知ってるんすか」

「まあね〜」

先輩にあまり会いたくなくてここ最近ずっと休み時間の度にトイレや屋上に逃げてたのに……!

まさか帰り道で捕まるなんて……

これだから、この人は苦手なんだ。

「…先輩って部活とかしてるんですか?」

「ん〜、まあそんな感じかな〜」

またこれ。

俺の情報は聞き出すくせに自分のことは一切教えてくれない。

まともに教えてもらったのって名前と学年だけじゃね?

「大ちゃん、早く帰ろ」

「お、おう。そうだな」

「じゃあ、先輩さよなら」

大ちゃんの手を掴んで走り出し…たはずだった。

なのに俺は先輩に肩を掴まれてて、その場から動けてない。

「待ってよ山田。俺も送ってあげる」

「…っ、いいです!俺は大丈夫なんで」

「はあ…気づいてないの?」

また、近づいてくる顔。

何かを耳元で言うつもりだ。

「… 薄くだけど、Glareを感じる。嫌な雰囲気のね」

「え……」

全く察知できなかった。

薬を飲んでいるから当然といえば当然だけど。

でもあくまで俺の飲んでる薬は人よりGlareに影響されやすい体質の俺が強すぎるGlareによって取り乱さないように察知能力を平均並みに下げる効果と精神安定剤のような効果があるものだ。

「本当に僅かなものだから俺でもちゃんと意識を研ぎ澄まさなきゃわからない程度にしか出てないよ。山田に害を与えるつもりがあるのかもわからない……でも、万が一のために俺にも付き添わせて」

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作者名:るち | 作成日時:2021年1月12日 11時

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