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2話 ページ2

「山田〜」

「…はい……」

毎時間毎時間、遊びに来る先輩。

どれだけ暇なのかと思っていたらなんと伊野尾先輩は学年1位の秀才で当然ながら入学も首席。

中性的なルックスと穏やかな言動で男女共に人気を集める学園の王子と言われているらしい。

男子が多めのこの学校で王子様と認められるなんてすごいと思う。

すごいとは、思うんだけど…………周りからの目線が痛い。

だって俺はクラス1と言っても過言ではないほどの陰キャで幼なじみの圭人しか友だちがいない。

カーストが違いすぎてとてもじゃないけど先輩と一緒になんていられないのだ。

「あ、あの…先輩。なんで俺に構うんですか……」

「えぇ〜かわいいからかなぁ…」

かわいい?俺のどこが?

「ほら、その長い前髪上げてダサいメガネ外したらもっと可愛いよ」

「…やめてください!」

見られた。俺の目を。

前髪もメガネもないと俺は……

「…すみません、先輩。やまちゃんのメガネ返してもらってもいいですか?」

誰かに引き寄せられたと思ったら上から聞こえるのは圭人の声。

俺を隠すように抱き締めてくれて奪われたメガネを取り返してくれる。

「キミは…Switchだね。Defenseしないでよ、何もする気ないからさ」

「やまちゃんのメガネや髪のことに触れないでください。彼にも事情があります」

「おっけーおっけー。わかったからGlareまで出さないでよ」

「…やまちゃん、もう大丈夫だからね」

先輩と話してる時はちょっと怖かったのに、俺に話す時はいつもの優しくて甘い圭人の声に戻る。

それだけで俺は少しふわふわしてしまって。

「…ん。ありがと」

「Dropしてない?大丈夫?」

「大丈夫」

「よかったぁ……よく頑張りました、偉いねやまちゃん」

圭人のくせに、俺のcareはとても上手い。

ちょっとでも気を抜いたらSpaceに入ってしまいそうだ。

「2人の世界入らないでよ全く……ま、とりあえず俺は帰るよ。また明日ね」

「……もうやまちゃんに関わらないでください」

おー怖い怖い、なんてぼやきながら伊野尾先輩は手をひらひら振って帰って行った。

きっと明日も来るんだろう。

あの人がいると、俺はどうにも落ち着かない。

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作者名:るち | 作成日時:2021年1月12日 11時

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