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いつのまに決まったんだこれ。
今日は文化祭に向けて一日準備の日。
「ほな、表出る人たち衣装合わせてー」
「いつきまったんこれ」
「しらない」
おそらく私たちが月バリ見てる時。
HRに月バリ見るのやめようかな。
さっきのくじ引きで運よく裏方になれたけど、侑は表。
女の子たちに仕組まれていたのではないかとも思う。
顔か。顔なのか。
ドンマイと、更衣室へ行くのを渋る侑の背中を押す。
「……侑くんに触らんといて」
「……えっと、ごめん?」
誰だこの子。
記憶をさかのぼっても、見つけることができない顔。
ぎろりと私に威嚇をすると、甘い声で侑の着替えを手伝いに行った。
あ、衣装担当の子なのか。はて、侑に触らんといてとは。
彼女なのだろうか。
ま、あいつモテるし。彼女がいても不思議ではない。
彼女いんのに他の女と海なんて行ってはだめだと、後で注意しとこ。
「Aー。こっち手伝ってぇー」
「はーい」
なんだこれ。
ちょっとだけ、ちょびっとだけ、
胸のとこがもやもやする。
*
昼休み。
いつもは自分の席で食べているのだが、衣装係の女の子が席を譲れと目で訴えてきたのがさっきのこと。
ええ。と思いながら、彼女ならばと譲って、廊下に出た。
治君でも誘おうかなと思ったけれど、侑の二の舞になりそうなのでやめた。
1人飯でいいか、と屋上に向かう。
稲荷崎のいいところは屋上が施錠されてないとこだと言っても過言ではないと思う。
高いフェンスに囲まれてるから心配もない。
ガチャリと重い扉を開ければ、見知った顔がいた。
「角名くん。ぼっちじゃん」
「特大ブーメランだよ。宮本さん」
「ぼっち同士一緒に食べようや」
「別にいいけど」
ベンチの真ん中を陣取っていた角名くんは、私の座る空間をあけてくれる。
失礼しまーす。と腰掛ければ、失礼されまーす、と返ってきた。
「角名くんのクラスはなにすんの」
「さっき看板にパンって書いたから、パンかなんか売るんじゃない」
「雑かよ」
侑がコスプレさせられてたよ、と話すと角名くんは独特の笑い方で、見に行くわ、と約束した。
「あ、宮本さんは誰かと回るの? 文化祭」
「今のところはフリー」
「じゃあ、俺と回ろ。バレー部のシフトも一緒だったよね。俺忘れそうだし」
「いいよ。よろしく」
……侑は彼女と回るのかな。
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黒尾ファン - 続き待ってます頑張ってください (3月31日 9時) (レス) @page18 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - 更新待ってました✨続き楽しみにしてます😃 (2022年5月31日 23時) (レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
はねっさん(プロフ) - 続き待ってます!!! (2020年7月30日 22時) (レス) id: 93b3e8542a (このIDを非表示/違反報告)
きいろ(プロフ) - これおもろいなあと思ってよんどったら、セミとトンボの人ですか!!!どっちもめちゃ好きです!!!(((( (2020年7月25日 8時) (レス) id: d4f4d3c247 (このIDを非表示/違反報告)
仄 - 久しぶりに好きな文面を書く方を見つけてしもうた……好きです (2020年7月23日 2時) (レス) id: 3d4d17e641 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小春-koharu- | 作成日時:2020年7月16日 18時