標準語が恋しくなった【宮侑】

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「もしもし飛雄？」



『もしもし』



「元気してた？」



おう、とぶっきらぼうな返事が返ってくる。



機嫌が悪いわけではないと、知っているから普通に話せてちょっと安心。



「どう？ 受験勉強は」



『……』



「飛雄……」



あきれた声を出せば、やってないわけではねぇし！ と返事が返ってくる。



やってないんだなぁ。



「どこ行きたいかにもよるけどさ」



『……白鳥沢』



「もっかいいって？」



『白鳥沢！』



「……本気？」



『わるいかよ』



バレーで推薦もらってるならまだしも、勉強してない飛雄に一般入試はかなりきついはず。



バレー、やりたいからだよね。白鳥沢強いもんな。



「青城は？」



『……あいつらが、いくから』



「そっかぁ」



国見君と金田一君のことだろう。確かにあの二人と高校も一緒にバレーはできないかぁ。



及川さんと飛雄もうまくやっていけなさそうだし。



宮城って、あとどこがバレー強いっけ……。



烏野は、あれか。落ちた強豪、飛べない烏。



県立で、受験一本勝負ってのもきついのかなぁ。



飛雄、工業って感じしないから伊達工はだめだ。あのこ、指怪我しそう。



『先生には、烏野すすめられた』



「マジか。県立だけど、飛雄大丈夫なの？」



『……』



勉強のことになるとほんとにダメだこの子。



白鳥沢目指すにしても、烏野目指すにしてもどっちみち勉強はしなくちゃいけない。



「バレー、続けたいんでしょ」



『当たり前だ』



「……手伝ってあげる」



『本当か？』



と言ったって、遠隔じゃ手伝えることも限られる。



飛雄は塾に通っていないから、わからない問題をメールで教えるくらいはできるだろう。



「あとは、さぼらないように電話繋いどくとか」



電話の向こうで悩んでる様子の飛雄だったが、お願いします、と声が返ってきた。



「飛雄の行く高校が全国言ったらうちと戦えるかもね」



『！！』



「うち、かなり強いから。飛雄も頑張れ」



『おう！』



ツーツーと電話を切る。



飛雄の声が明るくて良かった。



あと半年後にいい連絡が聞けるように私もお手伝いしよう。

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