標準語が恋しくなった【宮侑】

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なんでこんなことになったんだ。



試着室の鏡に映る自分をみる。



侑に選んでもらったというか、勝手に選んで押し付けられた水着。



確かに、かわいいが高校一年生が着るにしてはきわどくないかとも思う。



侑はこんな水着がタイプなのだろうか。変態なのか、あいつ。



開けてええかーという侑の声がカーテン越しに聞こえる。



「ダメ。絶対ダメ」



「え？！ なんでや」



なんでも！ とキレ気味に返事をして、急いで水着を脱ぐ。



無理無理無理。こんなの見せられないって。



ていうか、そもそも彼氏でもない侑がなんで私の水着選んでんのさ。



宿題終わるまで、海行くって言ってないし。



着替えてから、シャッとカーテンを開ける。



「え！？ 着替えなかったん？」



「侑の変態」



「はぁ！？ 何いっとんのや」



なぁなぁ、といつものようにねだってくる侑だが、今日ばかりはだめだ。



これ着たとこみせるとか拷問すぎ。



「あれ？ 侑と宮本さんじゃん。何？ デート？」



最悪だ。



＊



「侑、さっきからなんでそんなきわどいの持ってくるの」



「ええやん。かわええし」



「可愛いけどさ、宮本さんが着るならこっちでしょ」



なんだこの光景は。



部活の同輩二人に自分の水着を選んでもらうってどういう状況。



あーだこーだ言い合っていて全然決まる様子がない。



そもそも二人の好みが違いすぎる時点でダメだと思う。



「宮本さんは？」



「どっちがええ？」



私は乙女ゲームにでもトリップしたのでしょうか。

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