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「なぁ、ボール出してくれ」
「お前もバレーやりゃいいのに。楽しいぞ」
「……いつも練習付き合ってくれてさんきゅ」
不器用なだけだった。
不器用すぎるだけだったのに。
中学生のアイツにそんなことはわからなくて。
もともとわがままな性格ではあったが、私からしたら年下のかわいい幼馴染だったし、楽しそうにボールを追う姿がかっこよかった。
運動神経がいいとは言えない私にも、バレーを教えてくれた。一緒にできるなら、と練習したのが懐かしい。
バレー部に入るのか、と聞かれたあの春。私は迷わず男バレのマネージャーを選んだのだった。
負けた、というメールはいまだに未読無視のまま。
連絡くらいはしないとな……。と逃げている自分に嫌気がさした。
「ぼーっとしてるけど、大丈夫?」
突然現れた角名くんに持っていたドリンクをかけそうになる。あっぶな。
「ドリンク、なくなりそう」
「あ、わかった。わざわざありがと」
「宮本さんもほどよく休憩するか、日陰行きなよ」
そういって頭に乗せられたのは濡れタオル。それも、ひんやりとした。
ぶるっと頭をふって集中、とつぶやく。
とりあえず、目の前のことをどうにかしないと。
*
ドン キュツ
懐かしい音が壁越しに聞こえてくる。
大好きだったはずなのに大嫌いになってしまった音。
今すぐにでも逃げ出したい衝動に駆られるが、あの日の侑のことを思い出すとそんな気持ちは和らいだ。
私はいつの間にか、アイツにほだされているのかもしれない。
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黒尾ファン - 続き待ってます頑張ってください (3月31日 9時) (レス) @page18 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - 更新待ってました✨続き楽しみにしてます😃 (2022年5月31日 23時) (レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
はねっさん(プロフ) - 続き待ってます!!! (2020年7月30日 22時) (レス) id: 93b3e8542a (このIDを非表示/違反報告)
きいろ(プロフ) - これおもろいなあと思ってよんどったら、セミとトンボの人ですか!!!どっちもめちゃ好きです!!!(((( (2020年7月25日 8時) (レス) id: d4f4d3c247 (このIDを非表示/違反報告)
仄 - 久しぶりに好きな文面を書く方を見つけてしもうた……好きです (2020年7月23日 2時) (レス) id: 3d4d17e641 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小春-koharu- | 作成日時:2020年7月16日 18時