標準語が恋しくなった【宮侑】

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ふと、よみがえる記憶。



バレーを嫌いになる前の、記憶。



一緒に笑って、ひたすら、ただひたすらに上達するのを楽しんでいた頃の。



やるのも楽しかったけど、あいつのバレーを近くで見るのがなにより楽しかった。



ボールが友達ってこういうことなのかなとか考えたり。



今、何してるんだろう。



バレー、続けているかな。



中三のチームではどうなのだろう。



メンバーが変わったわけではないのだから、変化を求めることがおかしいのだが。



携帯の人物登録の欄を見て、あいつの名前を見つける。



消そうと思ったこともあったけど、どうしても消せなかった。



いい加減、私も何かしないとだめなのかな。



中学のことを言い訳にすんな、とか言われるかもしれない。



お前には関係ないと。



「ぬりかえたる」



侑の真剣な顔が記憶を上書きしてきた。



しかし、同時に絶望したようなあいつの顔もちらついた。



ああ、頭が痛い。



やはり、まだ、私にははやすぎる。

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