標準語が恋しくなった【宮侑】

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「ギャラリー、そこから登れる」



「わかった」



「ちゃんと見とき」



ギャラリーを見ると女子生徒がたくさんいた。



その中にはうちわを持っている子も。



近くで見るとそれには、「侑」「治」と書かれている。



アイドルなのか、あいつらは。



確かに顔は整っているが。



普通に話している私は刺されるのではないか。



「ナイスキー」



コートを見るとさすが、強豪といったところだろうか。



人数が多いのはもちろん、連携、個人練がしっかりと構成されている。



ふわっと上がったそのボールの行く先を見る。



私はスパイカーが打つのを見ることはできなかった。



ゆっくりと瞼を開くと、角名君と侑がハイタッチをしている。



「侑、セッターなんだ……」



嫌な思い出がよみがえり、全身の血の気が引いていく。



もし、高校でも同じことがあったら？



侑が見捨てられたら？



コート上で一人になってしまったら？



ぐるぐるとそのことが頭の中を支配する。



「うっ」



軽い吐き気が迫って、急いで階段を下り、体育館の外へ出た。

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