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掛け声が聞こえてきて、歩が遅くなる。
何もなかった。そう、何もやることがなかったのだ。
此処が目的なわけじゃない。
断じて、違う。違うのだ。
……違うと思いたい。
「あれ、宮本さん?」
「うわぁっ、……角名君」
「俺でごめんね」
ボールが足元に転がってきて、一歩後ずさる。
「取ってくれない?」
「ああ、う、うん」
ぱっと片手でとり、角名君に急いで投げる。
「うわっと、ありがとう」
「じゃ、じゃあ、頑張ってね。応援してる」
「え、まってよ」
「何」
「見ていけば」
「なんで」
「ギャラリーせっかくあるし、侑もいるよ」
「いや、帰る」
「角名ー」
角名が遅いのを心配したのか、体育館からもう一人出てきた。
「……A?」
侑だった。
「あ、えっと、お疲れ」
「見に来てくれたん? 興味出た?」
「いや、もう帰る。たまたま、たまたま前通っただけ」
シューズを履き替え、スタスタと、侑は私の方へ歩いてくる。
そして、私の腕をつかんだ。
「せっかく来たんやろ。見ていってや」
腕をつかむ力とその強い意志の宿った目を見ると、断るのは難しいように思えた。
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黒尾ファン - 続き待ってます頑張ってください (3月31日 9時) (レス) @page18 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - 更新待ってました✨続き楽しみにしてます😃 (2022年5月31日 23時) (レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
はねっさん(プロフ) - 続き待ってます!!! (2020年7月30日 22時) (レス) id: 93b3e8542a (このIDを非表示/違反報告)
きいろ(プロフ) - これおもろいなあと思ってよんどったら、セミとトンボの人ですか!!!どっちもめちゃ好きです!!!(((( (2020年7月25日 8時) (レス) id: d4f4d3c247 (このIDを非表示/違反報告)
仄 - 久しぶりに好きな文面を書く方を見つけてしもうた……好きです (2020年7月23日 2時) (レス) id: 3d4d17e641 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小春-koharu- | 作成日時:2020年7月16日 18時