標準語が恋しくなった２【宮侑】 (ページ6)

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お風呂から上がって、リビングに戻れば携帯が鳴っていた。

飛雄だろうか。

宛先を見ずにもしもし、と声をかければ音が割れるほどの大声が聞こえてくる。

飛雄じゃない。侑だ。

「……何。うるさいわ」

『やって！全然でぇへんから』

「お風呂入ってた」

『……そぉか』

なんだその間は。

「んふふ、んで？どうしたの。何か伝え忘れでもあった？」

『や、別に…。そういうわけや、ないんやけどさぁ』

もごもごと歯切れの悪い侑。

珍しいなぁ。そう、思いつつも、次の言葉まで待った。

『…最近、俺のこと避けてたりせぇへんか？』

電話越しに元気の無い声がポツリと聞こえた。

ぶっちゃけ、心当たりしかないその言葉に、心の中でため息をひとつ。

正直に話すべきか、否か。

部内でナンバーワンを争うほど鈍い宮兄弟の1人に気づかれてしまえば、この先はぐらかし続けるのにも無理がある。

練習に支障をきたすのは私も本望では無い。

この1対1の電話という状況で、嘘をついても言及されるだけだろうしなぁ。

『なぁ…、聞いて…』

「避けてるよ。めちゃくちゃ」

『っ、やっぱしか…』

侑はあぁ〜という情けない声とともに、大きなため息をつく。

『すまん。俺らが原因なのは、そうなんやろうけど…。教えて貰ってもええか？』

そう、途切れ途切れで言葉を紡ぐ侑は珍しく落ち込んでいるのか、声のテンションが低い。

「…ん〜」

まぁ、元を辿れば侑たちが原因と言えるのかもしれないが、侑が悪いわけではないのでなんとも言えない。

「…別に、侑のせいでは無いんだ」

『…は？』

「だってさ、私、侑の顔がブサイクになって欲しいわけじゃないもん」

『………は？』

「まぁ、侑の顔がイケメンなのは承知の事実だし？」

『おまっ、俺の顔イケメンだと思っとったんか！』

「さすがに思ったことはあるよ」

『ほぉ！』

急に元気になった侑は、よく分からない。

けれど、これが私の本音であり、事実なのだ。

別に、侑と治くんをはじめ、バレー部の皆に整形しろとは思ってない。

十二分に神から授かった素晴らしいご尊顔をもっていらっしゃるから。

まぁ、それが悩みの種だというのだから、どうしようもないって話なのだが。