■ ページ2
*
数分後、『着きました』のメッセージが来てギリギリまでソファに寝転んでいた僕は慌てて適当に準備をして頭痛薬を鞄に放り込んで家を出た。
マ｢おはようございます｣
侑｢おはよ｣
マ｢……知念さん顔色悪くないですか？｣
車に乗り込む僕をバックミラー越しに心配そうに見てくるマネージャーさん。
びっくりして一瞬止まってしまったけど、取り繕うように｢そう？｣と一言だけ返して座席に深く腰かけた。
マ｢……いつも言ってますけど……｣
侑｢ふふ。何かあればちゃんと言う、でしょ｣
マ｢本当に分かってます？｣
侑｢分かってるよ。ほら、早く行こ｣
まだ納得出来ていない表情のマネージャーさんをそう促すと、バックミラー越しに合っていた目は逸らされ車が進み出した。
雨の日だからマネージャーさんも特に気にしてくれているのは分かってる。
必ずと言っていいほど偏頭痛に襲われて
その度に激しい頭痛に苦しんでる僕を何度も見てるし
それなのに僕が我慢して隠すから、いつしか｢何かあったらちゃんと言う｣がマネージャーさんの口癖のようになっていた。
迷惑掛けてるって分かってる。
言わずに悪化させる方が困らせるんだってことも。
でも、仕事は大事だから。
優先したいって僕の気持ちも汲んでくれているの知ってるよ。
侑｢……っ、｣
どんよりとした重く暗い空。
車窓に激しく打付ける雨を見ながら、少しずつ痛みをましていく頭に気づかないフリをしたくてひんやりと冷たい窓に頭を預けた。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：tom | 作成日時：2022年4月3日 17時
